15日から9戦連続7番起用…打率.280と復調傾向も
先発オーダーから「4番・山川」の名前が消えて10日あまり。15日の西武戦(みずほPayPayドーム)から27日の日本ハム戦(同)まで9試合続けて7番で起用されている山川穂高内野手。チームは25日までの8試合で5勝3敗と2つの貯金を作っている。
データを見ると、打順変更は“吉”と出ている。開幕から38試合座った4番では打率.193、7本塁打、20打点に対し、7番では打率.280、1本塁打、5打点をマーク。「主力がいない中で1人ですべて背負ってやらないといけないという姿が強すぎたので。それを少し解放してあげようという考えです」と語った小久保裕紀監督の決断は奏功しているといっていい。
山川自身は15日の試合後に“4番像”を語っていた。「外されたからショックとか、そういう浅いレベルの感情ではなくて。打席で必要なのは確実に技術なので」。背番号5が定位置に戻るのはいつなのか。そのために必要な条件とは何か。そもそも「4番・山川」は最適解なのか――。本人、そして首脳陣の考えに迫った。
「4番に戻すのはまだまだ先ですね。“無双状態”になったらです」。極めてシンプルな言葉を口にしたのは村上隆行打撃コーチだ。「今は下位を打っていますけど、6番からまたクリーンアップが始まるという考えもできるので」。7番に山川が座るメリットを口にしたうえで、現状がベストかと問われるとキッパリ否定した。
「本調子になってほしいなというだけですね。下位から上位につないでもらうというより、彼には(走者を)掃除してもらったほうがいいので。(7番での起用は)楽に打ってほしいという部分が一番です」。あくまで山川が復調するための選択肢にすぎず、ホークスにとって「4番・山川」が最適解であるとの考えは変わらないことを強調した。
「長期的に見てヒットを打つことで状態を上げたい」
山川自身は現状をどう捉えているのか。適時打を含む2安打を放った25日のオリックス戦後、主砲はありのままの思いを口にした。
「必死にやっているというところです。何かをつかんだというときにはああいう打ち方にはならないので。今はその時その時で結果を出そうという打ち方をしていますね。長期的に見て、ヒットを打つことで状態を上げていきたいと今は思っているので。そういうアプローチです」
4度の本塁打王に輝き、通算260本塁打を誇る33歳が明かしたのは、プライドをかなぐり捨て、懸命にもがいている“今”だった。「今は7番ということもありますけど、タイムリーを打ったり、後ろにつないだりというのをやっていくだけです」。自らの立ち位置をしっかりと見据え、できることを1つずつこなしている日々だ。
7番で見る“景色”は違うのか。そう問いかけると山川は笑いながら首を横に振った。「そこは変わらないです。実際にプロでいろんな打順を打ってきましたけど、1番と2番以外は全部打ったんじゃないですかね。だから変わらないです」。
首脳陣の変わらぬ思いと本人の冷静な受け止め。やはりホークスの最適解は「4番・山川穂高」なのだろう。チームにとって“その日”が1日も早く訪れることが、リーグ連覇に向けた何よりもの追い風となる。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)