頭部死球直後、ベンチで交わされた会話とは?
周東佑京内野手は、17日にタマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグのくふうハヤテ戦(タマスタ筑後)に「1番・指名打者」で先発出場した。初回の先頭打者として迎えた打席、3球目の抜けた直球が頭部に直撃。ヘルメットが吹き飛び、場内には悲鳴が上がるなど、衝撃が走った。
一度はベンチへ戻ったものの、周東はそのままプレーを続行。第3打席を終えたところで交代し、取材に応じた際には「思ったより痛くもなかったので、よかったと思います」と語り、自身の無事を強調した。
試合後、頭部死球から出場続行に至るまでの間にベンチ裏で周東と交わされたやりとりが、2軍首脳陣から明かされた。
試合後、松山秀明2軍監督は「周東も『問題ない』『行きたい』という感じだったので。そこは彼の意思と、僕の見た印象で判断しました」と、グラウンドに送り出した際のやりとりを説明した。また、「ストレートだったので驚いたが、避けきれた分、当たり方が悪くなかった」とし、深刻な状況ではなかったと語った。
村松有人2軍打撃コーチも「当たり方が弱かった。トレーナーの『大丈夫』という判断もあった」と述べ、首脳陣全体で状態を慎重に確認しながらプレー続行を決めたことを明かした。
とはいえ、死球直後の第2打席では「若干の怖さはあったと思う」と村松コーチ。それでも周東はその打席でフォームを確認しながら9球粘り、10球目の外角高めの変化球に空振り三振。ベンチへ戻ると「もっとピッチャーに入っていかなきゃいけない」と自らに言い聞かせるように語っていたという。「さすがに経験が違いますね」と首脳陣も関心を示した。
松山2軍監督が驚いたプレー「びっくりしました…」
第3打席では右前打で出塁し、その直後には二盗を成功させた。ベンチから周東に対するサインはグリーンライト。判断を託していたものの、頭部死球後とは思えぬ積極的なプレーには首脳陣も驚きを隠せなかった。松山2軍監督は「盗塁はびっくりしましたけど……本人も、自分の状態を確かめたかったんじゃないですか」と、納得の表情を見せた。
周東は18日の同カードも出場予定で、守備にも就く見込みだ。足の状態を慎重に見極めながらの判断にはなるが、本人も「きょう3打席立って、明日どうなるか。そこでまた判断ですね」と話し、コンディションを見ながら調整を続けていく意向を示した。
試合後、「日に日に良くはなっている」とも語った周東。その表情には、1軍復帰への確かな手応えがにじんでいた。
(森大樹 / Daiki Mori)