プロ野球界の“正月”を充実の表情で終えた。「グラウンドに行くまでは緊張していたんですけど。アップで体を動かしたり、声を出したりしていくにつれて、徐々にほぐれていった感じでした。初日としてはいいスタートが切れたのかなと思います」。そう振り返ったのは神奈川大からドラフト2位で入団した庄子雄大内野手だ。
あいにくの雨に見舞われた宮崎春季キャンプ初日。屋内練習場で快音を鳴らした22歳の打撃フォームは、あの“天才打者”をほうふつとさせた。「プロで一番目指しているバッターが近藤さんなので。少しでも近づけるようにしたいなと思います」。母校・横浜高の大先輩、近藤健介外野手への憧れを口にした。
大学に入ってから作り上げたという現在のフォームで、神奈川大学リーグで新記録となる通算116安打を積み重ねた庄子。大学時代、近藤の存在は“精神安定剤”になっていたという。
「試合で打ったシーンがたまにYouTubeとかで流れてくるので、そのタイミングで見たりですね。あとは大学時代でいうと、自分の試合前とかにも見ていました。いいイメージが持てるので。近藤さんの映像を見てからゲームに入ることもありましたね」
特に“お気に入りの一瞬”があるという。「右足を上げて、トップを作ったところですね。そこは何度も見返しちゃいます」。動画に合わせて、自身も同じように足を上げることもあるという。ここまで聞くと近藤のバッティングを“コピー”したかに思えるが、庄子は首を横に振る。
「映像はよく見ますし、タイミングの取り方は参考にしていますけど、フォーム全体を真似しようとは考えていないですね。自分と近藤さんでは骨格や筋肉の付き方も違うと思うので。高校の先輩だからフォームを似せているとかではなく、自分にとってシンプルに一番合う形を追い求めた結果、たまたま今のフォームになった感じです」
憧れの先輩とは1月30日、福岡市・筥崎宮での必勝祈願で顔を合わせた。「『横浜高校出身の庄子です』ってあいさつをして。その時は握手くらいで、まだちゃんとした話はできていないですね」。S組に入っている近藤は宮崎に入らず、鹿児島・徳之島でトレーニングを続け、第4クール初日の15日にチームへ合流する予定だ。「そこまでは自分もA組に残って、アドバイスを聞きたいなと思います」。明確な目標も生まれた。
ルーキーでは唯一A組に選ばれるなど、即戦力の期待を受ける庄子だが、自らの課題は冷静に把握している。「バッティングに関しては、走攻守で一番レベルを上げないといけない部分だと思っています」。A組にしがみつき、近藤から直接の打撃指導を受けることができれば、おのずと開幕1軍への道は開けてくる。
背番号25の入った自身のユニホーム姿については「まだ似合ってないなと。これから自分のものにしていければいいなと思います」と初々しく笑った。天才打者が宮崎に来るまで、がむしゃらにアピールを続ける。