大関友久が明かす“メジャー挑戦発言”の真意 「後悔も何もない」…ブレない未来図

昨年の契約更改時のソフトバンク・大関友久【写真:藤浦一都】
昨年の契約更改時のソフトバンク・大関友久【写真:藤浦一都】

昨オフの契約更改後に明かした“夢”「野球の面白さを感じさせる選手に」

 昨オフの契約更改後に大関友久投手が口にした、将来的なメジャーリーグ挑戦への思い。各報道機関は一斉に報じ、大きな反響を呼んだ。様々な声があった中で迎えた今季、20試合に登板してキャリアハイの8勝を記録。規定投球回には届かなかったものの、防御率2.50をマークするなど、リーグ優勝に貢献した。あれから1年。左腕に“あの発言”を振り返ってもらった。

「一番になりたい気持ちが昔からあった。大谷(翔平)さんや、メジャーで活躍されている方を見て、自分もそうなりたいと。そういうシンプルな思いです」。昨年12月、契約更改後の会見場で大関は言い淀むことなく口にした。2022年オフに海外FA権を行使し、海を渡った千賀滉大投手から授かった「そういう気持ちがあるんだったら、早いうちからいろんな人に話をしておいた方がいい」とのアドバイスも、背中を押してくれた。

 世間の反応は当然、大関の耳にも入っていた。「応援してくれる人もいれば、もちろん小馬鹿にする人もいますし。僕の正直な気持ちに対して、いろんな意見を持つ人がいるのは事実なので」。昨オフの時点で通算50試合に登板し、勝ち星は12。現状、メジャーで通用する力があるとは大関自身も当然思ってはいなかった。

「2024年にプレーして、また来年やって、再来年やった時に、選手としてどうなっているかは誰にもわからない。ただ『どうなりたいか』という方向性がすごく大事だと思っているので」。自らの信念を貫き、抱き続けてきた夢を明かしたが、報道にはかすかな“違和感”も覚えたという。

「話した内容を完全に理解してもらえないまま、見出しだけで怒っている方とかは『ちょっと悲しいな』と思いました。報道についても“大関メジャー挑戦”だけで見出しを取っているような記事は、『選手の気持ちよりも、クリックされればいい』という気持ちが見えて……。多くはなかったですけど、ちょっとひどいなって感じる記事もありました。それは本質じゃないと思いますし。多分あんまりいいことじゃないので……」

 大関という男は、どこまでも真っ直ぐだ。「世の中的にも“見出し詐欺”でYouTubeの再生数を稼ぐとか、たくさんあるじゃないですか。でも本当に面白いものって、決してそんなものじゃなくて。もっと本質を見抜いて、本当にうまく表現して、もっと素晴らしいもので再生数を稼げばいいのになと。それは何事でもそうだと思います。野球選手でも、もっと素晴らしいものを目指していって。みんなに見てもらえるように努力していく方がいいのになと思う。僕はそういう方が好きだなって」。

 左腕にとって、最高峰の舞台への挑戦も思いの延長線上にある。「野球もエンターテインメントじゃないですか。プレーを見ていて、野球の面白さを感じてもらえるような選手になりたいなと。あくまで自分の価値観ですけど、そういう方向性に向かっていくことが大事だと思うので。多分、プロでやっている人はみんなそういう気持ちを持っていると思います。そういうのを忘れずにいつまでもやっていきたいなと」。

 改めて、1年前の発言について聞いてみた。後悔はなかったか――。

「後悔も何もないです。いろんな意見が出てくるのも当たり前ですし。本音なんで、そこは」

 目指す頂点は果てしなく高いが、それでも大関なら届くのではないか。そんな思いを抱かせる男だ。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)