試合前に自らに課す猛練習 “早出の早出”も…笹川吉康が過ごす充実のナイターライフ

ソフトバンク・笹川吉康【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・笹川吉康【写真:上杉あずさ】

全体練習前に行うアーリーワークの前にも1時間ほど打撃練習を行っている

 夜型生活が飛躍のキッカケになるかもしれない。2020年のドラフト2位で入団し、今季プロ4年目となる笹川吉康外野手が、5月に入って充実の日々を送っている。

 鍵を握っているのは“早出の早出”だ。今月4日からタマスタ筑後でのウエスタン・リーグでナイトゲームがスタート。3連戦であれば、初戦が18時開始、2戦目が17時開始となり、3戦目だけは移動があるために13時開始のデーゲームで行われる。このナイトゲームの試合前が笹川にとって重要な時間になっている。

 18時開始の場合、ホークスの全体練習は14時20分頃に始まる。続々と選手たちが集まってくる中に、必ずと言っていいほど、笹川の姿はない。アーリーワークのメンバーとして、集合時間の1時間ほど前から室内練習場でバットを振っているからだ。その後、本隊に合流し、試合前練習も行う。「ナイターも始まって、相当、試合前に打てるんでそれが大きいです。練習時間がけっこう取れるんで」と清々しく語る。

“練習時間”というのは、これだけではない。自主的に“早出の早出”練習まで行っているのだ。アーリーワークが始まる1時間以上前に室内練習場に姿を現し、そのままマシンを相手に1時間ほどの打ち込みを行う。「アーリーの前にめちゃめちゃ打ち込めるので、出来上がった状態で試合に入れるんです」。試合後の練習ももちろん大切だが、試合前に打ち込むことが良い準備になっている。

「やっぱり自分の中で悩みがあると、どうしてもピッチャーと対戦できないんで。その悩みを試合前にいっぱい打ち込んで解決しておくと、今日はこうやっていこうとか対策がいつもよりしっかりできて、ピッチャーと対戦しやすいんです」。現在は2軍では打率.266と2割台後半で推移しているが、確かな手応えを感じている。「まだ爆発はしてないんすけど、悪くはない。ちょっといろんなことを掴みかけている感じです」と表情は明るい。

ソフトバンク・笹川吉康【写真:竹村岳】
ソフトバンク・笹川吉康【写真:竹村岳】

 今も新たな取り組みを試しているところだ。今までは真っすぐ上げていた右足を、軸足側に引き付けるように上げるイメージに変え、右肩が開かないようにも意識する。「試合前のバッティング練習だけじゃ、それをその日の試合でやるかどうか迷うんですけど、試合前にいっぱい打てると『今日はこれで試合に行ってみよう』って思い切れるんです」。試合に入る上での身体の準備のみならず、心の準備にもなっている。

 4年目の今季、徐々に結果が残るようになってきた。試合に出続ける中で、3月下旬には一度、打率3割にも届いた。状態を落とす時期もあったが、それでも2割台後半を維持してきた。今まで以上に結果が求められる4年目。「ガン見しています」と日々、打撃成績を気にしている。

 精神的に「キツかった」と気持ちが沈むこともあった。3割を超えていた時期のことだ。凡退する度に打率が落ちていくのを目の当たりにし「ちょっと打てないと一気に打率が落ちちゃう。それで去年のことを思い出しちゃいました。去年も打率1割台でヒットが欲しくて欲しくて、全部ヒットを打ちにいこうとしてボール球に手を出して、そのままもっと打率も落ちて……」。かつての嫌な記憶が蘇り、打率が良いにも関わらず、一喜一憂してしまっていたという。

 負けん気が強く、数字の他にもついつい意識してしまうことがある。周りのライバルたちの動向だ。「(意識は)していないです……。いや、でも、していないって言っているだけで意外としているかもしれない。けっこう、正木(智也)さんと廣瀬(隆太)さんとどっこいどっこいなんで。正木さんは同じ外野だし……。打ってくれる分は、チームが勝てるんで嬉しいって気持ちもあるんですけど。ちょっとだけ、ちょっとだけ悔しい。やっぱり気にしていますね」と、素直な思いを口にする。

 ライバルたちとの競争にも勝ち抜かなければ、1軍への道筋は見えてこない。「ナイターに強いってことは、1軍でも強いはず!」といたずらっぽく笑ってみせる。“早出の早出”効果で結果を残し、1軍デビューを手繰り寄せたい。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)