劇的勝利の裏にあった“優しい気遣い” 川瀬晃が山川穂高の左手に「直行」した理由

ソフトバンク・山川穂高(右から2人目)と川瀬晃(右)【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・山川穂高(右から2人目)と川瀬晃(右)【写真:荒川祐史】

歓喜の裏にあった川瀬の優しさ…山川が死球を受けた左手をさする

 劇的なサヨナラ勝ちでグラウンド上にできたホークスナインの輪。その中で山川穂高内野手にいち早く駆け寄ったのが川瀬晃内野手だった。死球を受けた左手をさするような仕草を捉えた1枚の写真。「サヨナラはもちろんうれしかったんですけど、とにかく心配で……」。激勝の舞台裏にあったやり取りに迫った。

 0-1で迎えた9回。先頭で右前打を放った周東佑京内野手が二盗に成功すると、1死二塁となって柳田悠岐外野手の右前適時打で同点に追いついた。続く山川はアブレイユの157キロを左手甲に受けて途中交代。一塁代走で出場したのが川瀬だった。近藤健介外野手が右翼手の頭上を越える当たりを放ってゲームセット。選手たちが喜び合う中で冒頭のシーンとなった。

「(左手が)結構腫れていたし、とにかく心配だったので。『大丈夫ですか』っていう感じでした」。左手に触れた川瀬に対し、山川のリアクションは「いつも通りの接し方だった」という。

 山川に代わって一塁走者として出場した川瀬にも“プレッシャー”があった。「責任感はありました。僕がサヨナラのランナーというわけじゃなかったけど、ライナーバックはしっかり頭に入れていました」と、絶好機をつぶすようなミスだけはしないように気を付けていたという。

サヨナラ勝利に笑顔を見せる山川穂高【写真:荒川祐史】
サヨナラ勝利に笑顔を見せる山川穂高【写真:荒川祐史】

 急遽の出番となったが、「バタバタしたわけじゃなく、いつでもいけるように常に準備はしていた」。どんな場面でも隙を見せないユーティリティプレーヤーがベンチに控えるチームはやはり強い。

 ホークスは今季早くも5度目のサヨナラ勝ちで貯金は今季最多の17となり、2位の日本ハムとは6ゲーム差をつける独走状態だ。劇的な展開に歓喜が広がる中で見えた川瀬の「優しさ」と「徹底的な準備」。チーム全体の雰囲気の良さがよく伝わった1枚の写真だった。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)