叩き出す数値はホークスでもトップクラス 明石健志コーチが推すB組の2人の大砲候補

ソフトバンク・廣瀨隆太(左)と大泉周也【写真:藤浦一都、福谷佑介】
ソフトバンク・廣瀨隆太(左)と大泉周也【写真:藤浦一都、福谷佑介】

育成ドラ1の大泉は「バットを振れる中でもミート率が高い」

 楽しみな大砲候補がB組にいる。18日に行われたキャンプ2度目のA組紅白戦。ここにB組から参加したのがドラフト3位ルーキーの廣瀨隆太内野手だった。前日17日のセガサミーとのB組練習試合では豪快な3ランを含む2安打3打点。紅白戦では途中出場で空振り三振に終わったものの、貴重な経験の場になったはずだ。

 小久保裕紀監督もその能力を評価している。紅白戦後には「あんまり甘い球がなかったね。プロ1年目のキャンプで、途中でへばるのは当たり前なんですけど、バットが出てこないという話が来ていて、そこからもう1回(状態を)上げてきている。大体、そのまま落ちていくんですけど、今はこうガッと上がってきている感じで。振りは強いですよ」と語っていた。

 もともと即戦力として期待の大きかった廣瀨。A組スタートでもおかしくなかったものの、他のルーキーたちと共にB組でキャンプインを迎えることに。ただ、2月1日のキャンプインからB組の中でも、存在感は際立っていた。

「廣瀨と大泉(周也)は面白いと思いますよ」

 こう教えてくれたのが明石健志2軍打撃コーチだ。

 キャンプインから見てきた廣瀨の打撃を、明石コーチはこう評価する。

「数値で見ればチームでも上位の数値を叩き出している。それがゲームになった時にどうなるのかなっていうのはありますけど、まだルーキーですしそれが良くてプロに入ってきているわけなので、シーズンが半分終わるくらいまでは(フォームとかを)触ることもない。逆に見てみたいです」

 スイングスピードや打球速度に関してはチーム内でもトップクラス。柳田悠岐外野手や近藤健介外野手らに匹敵する数値を叩き出し、その非凡な能力はデータが証明している。

 パワーや打球の速さ、長打力ばかりに注目が行きがちだが、廣瀨の優れているのは他にあるという。「シート打撃でも見てそうだったんですけど、ノーストライク、1ストライクの時のスイングと、追い込まれてからのスイングで、バッティングを変化させることができる。2ストライクに追い込まれたら、その時の状況に合わせて振りを抑えてみたり、コンタクト、ミートすることに切り替えたりとかができるんです」。

 状況判断、そしてその状況への対応力。示し合わせたわけではく、偶然にも小久保監督が評価していた点と全く同じところを明石コーチも絶賛する。

 状況への対応力の高さはプロで生きていく上で「大事ですね。野球をやっていくにはすごく大切なこと」だと、明石コーチは言う。能力が優れていても、対応力に乏しく、結果を残せない選手も多くいる。廣瀨はその対応力の高さをここまで感じさせており、あとは実戦、そして真剣勝負になった時にどれだけの結果に繋がるか、が鍵になってくる。

 もう1人、明石コーチが名前を挙げたのが育成1巡目ルーキーの大泉周也外野手だ。山形中央高卒業後に日本製鉄鹿島へ入社したが、結果を残せないまま、2020年オフに退社。その後に入団したBCリーグの福島レッドホープスでは、週3回のアルバイトで生計を立てながら、野球を続けてきた苦労人でもある。

 大泉も廣瀨同様にパンチ力を高く評価されて入団してきたルーキーだが、明石コーチは「やっぱりバットを振れますよね。振れるし、その振れる中でもミート率が高い。幅広くコースとかでも打てる」と、豪快なスイングな割に高いコンタクト能力に目を細める。

 廣瀨の場合は紅白戦はあくまで“参加”だったため、20日からの第5クールでは再びB組でアピールを目指すことになる。廣瀨と大泉。明石コーチの推す2人の大砲候補にも注目したい。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)