オフになっても“練習の虫” 毎日22時まで灯る照明…仲田慶介が送る野球漬けの毎日

ソフトバンク・仲田慶介【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・仲田慶介【写真:上杉あずさ】

午前中の育成練習に始まり、初動負荷トレーニングを挟んで夜は自主練習

 オフになっても、いや、オフになってこそ“練習の虫”の真骨頂だ。ソフトバンクの育成・仲田慶介外野手は12月も黙々と猛練習に励んでいる。育成選手は12月も3勤1休のスケジュールで、20日まで練習が行われていた。ただ、その練習は午前中で終了。それだけでは物足りない仲田は、練習終了後も汗を流している。

 仲田の1日のスケジュールはこうだ。

 まず、午前中にファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」で行われる育成練習に参加し、守備練習と強化トレーニングを中心に行う。その後、学生時代から通う施設へ向かい、初動負荷トレーニングをこなす。肩関節や股関節周りの可動域を出すことが目的だが、ウエートトレーニングなどで固まった身体をほぐすことにもなるので、仲田にとっては怪我予防のためにも練習後に欠かせない。

 そして、夜になると、また筑後の室内練習場へと戻ってくる。夜は打撃練習をメインに行う。1人で黙々と、置きティーとスローボールマシンで打ち込みをしている。「寮生以外は22時半には(練習場を)出ないといけないので、22時半まで」。制限時間いっぱいまで練習、練習、練習……。寮生だったら一体何時まで練習するのだろうか。1日中、野球のことを考え、野球のための時間を過ごしている。

 仲田は「充実してます」と清々しい表情を浮かべる。秋季キャンプの延長戦のように黙々と練習を続けており「特に守備とか、キャンプでやってきたことを継続していかないと。キャンプで相当やっても全然まだ足りなかった」と、むしろ時間が足りないと言わんばかりだ。

「キャンプでは、ボールに入るまでの形が良かったら送球も安定すると言われました。だから、スタートの大事さとか、ボールが来てる時の間。右足の間っていうか、その間が安定して出来ていれば、足の力を使って強い球が投げられる。特にショートはそれができないと送球が安定しないので」

 コーチやスタッフがいる時にはノック打ってもらい、動きをチェックしてもらう。「まだやっぱり意識しないと出来なくて。無意識に出来ないと身についたっていうことにならならない。無意識レベルに落とし込む段階です。キャンプで相当やっても全然まだ足りなかった。やっぱ無意識で身につくって、時間かかりますね」と、ひたすら反復練習する。

 外野手として入団したものの、1年目は二塁手としてもプレーしてきた。今季は遊撃にも挑戦。メインポジションは二塁だったが、仲田は「ショートメインでやりたいっていうのは、正直あります」と意欲的だ。そこには何としても1軍で活躍したい、という仲田の執念が表れている。

「セカンドを出来ても、ショートは出来ないって人は多い。セカンドは今年ずっとやってきて、ゲッツーとかの難しいプレーもあるんですけど、ショートができれば……ってのはあります。セカンドは一塁送球のとき、捕れば投げるのは近いですけど、ショートってボールを捕るまでの形が完璧に出来ていないと、送球が荒れちゃったりして、すごく難しいんです」

 遊撃手が出来れば、内野手としてのレベルアップはもちろん、チャンスが広がると感じている。それを特に思うのは川瀬晃内野手の存在だ。今季、遊撃を守ることのできる選手として重宝され、それを皮切りにチャンスを掴み、打席での粘り強さや気持ち溢れるプレーで自分らしさを発揮していた。守備から出場機会を掴んだ好例だ。

「川瀬さんはキャンプで実際に見ても上手いし、すごいなと思いました。でも、超えないといけないというか、そうじゃないと試合に出られないので、密かに狙っています。まだまだですけど」

 胸の内は野心に溢れている。今後も引き続き、福岡で練習を継続する。「筑後がやっぱり1番いい。やることはもうわかってるので、自分でそれを固めたりとか、反復してやるのが1番。自分でやりたい」と語る。大卒3年目になる来季こそ、必ず支配下登録を掴み取って見せる。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)