プロ初日からリハビリ組の日々 ドラ6吉田賢吾がようやく立ったスタートライン

ソフトバンク・吉田賢吾【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・吉田賢吾【写真:上杉あずさ】

「コンタクト力、ミート力が自分の持ち味。特に三振しないのが長所」

 期待の“打てる捕手”がようやくスタートラインに立った。桐蔭横浜大からドラフト6位でソフトバンクに入団した吉田賢吾捕手が3日に行われた4軍戦で実戦デビュー。肘の故障で新人合同自主トレ時からリハビリを続けていたが、待ちに待ったプロ入り初の対外試合出場となった。

 今年新たに誕生した九州アジアリーグ「宮崎サンシャインズ」との一戦に「5番・DH」でスタメン出場。安打は生まれなかったものの、ユニホームを着て初めての試合に「まだ守備にもついていないので、完全にスタートラインに立ったわけではないですけど、実戦にこうやって復帰することができて、いろんな人に支えてもらってここまで来られていると思います。まずは結果というよりも、試合感覚をすぐ戻したい」と力強く語った。

 昨秋のドラフト前に肘の疲労骨折が見つかった。骨折が分かってからも痛みはなく、リーグ戦も続いていたためそのまま試合に出続けた。入団時のメディカルチェックでドクターストップがかかり、新人合同自主トレ初日から別メニュー。ここまではリハビリ組での練習の日々が続く。「やれるけど、もどかしいですね」と話していたが、ようやく一歩目を踏み出した。

「コンタクト力、ミート力が自分の持ち味。特に、三振しないっていうのが長所だと思います。ただ当てに行って三振が少ないのと、しっかりコンタクトして三振が少ないのとでは全然意味が違うと思うので、(タイミングが)ずらされた時に片手が離れてもフェアゾーンに飛んでいくとか、凡打の内容も詰めていかないと。三振はしないけど率がなかったら意味がないので、三振しない中でしっかりコンタクトして、ヒットだったり長打を広角に打てるように、そこをどんどん伸ばしていけたらと思います」

 具体的に自身のスタイルを語る姿は、ルーキーながら頼もしい。捕手としても「リハビリにいる期間もそうですけど、いろんな人とコミュニケーションをとって、ピッチャーの性格を知ることも大切だと思うので、たくさんいろんな人と会話したい」と意識し、キャンプ中から積極的にコミュニケーションを図った。年下選手の面倒見も良く、そういったところからも“捕手らしさ”を感じる。

 リハビリ中は、主に身体の使い方を見つめ直してきた。「今まで弱かった所を重点的に見つめ直すいい機会だった。そこが徐々に整ってきてバランスも良くなってきているかなと思います」。動きが悪かった肩甲骨や、骨盤の歪みによる身体の開きなどを改善してきた。現在の状態は「動きながらのスローイングだったり、より実戦的なスローイングって部分ではあともう少しです」と言い、表情も明るい。

 熾烈な捕手争いの中で、いかにして名乗りを上げていくのか。「スタートがこういう感じなので、目標というか、どう始まったかよりもどう終わったかを大切にしたいです。シーズン中盤から終盤にかけて、みんなが疲労してくる頃に、起爆剤となる若いフレッシュな選手が必要だと思う。そこで自分が上に行って活躍できたらいいなと思っています」。野心を燃やす22歳。完全に怪我が癒え、マスクを被る姿がいまから楽しみだ。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)