C組から1軍へ激動の3週間 育成ドラ13・西尾歩真の意識を変えた今宮健太の存在

ソフトバンク・西尾歩真【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・西尾歩真【写真:上杉あずさ】

1軍で実感したプロのスピード「全然違いました」

 ソフトバンクの育成ドラフト13巡目・西尾歩真内野手が激動の3週間を振り返った。育成ルーキーながら1軍のオープン戦に参加し、4試合に出場した。「ずっとドキドキでした」と言うものの、遊撃の守備を難なくこなした。1打席のみで“初安打”こそ生まれなかったが、堂々としたプレーぶり。「経験のため」という首脳陣の計らい。8日までで“1軍体験”は終わり、9日からは再びファームで試合に出場している。

 今春のキャンプは筑後のC組でスタートした西尾。守備力とコンタクト能力の高さを評価され、第4クールから宮崎のB組に昇格した。B組でも首脳陣に能力を認められ、オープン戦での“1軍デビュー”も果たした。「まさかで宮崎に行って、またまさかで……」と西尾自身も驚く、予想だにしていなかった3週間を過ごすことになった。

 中京学院大時代にはリーグ戦で打率4割を3度もマークした好打者。練習でも、小柄ながら抜群のミートセンスが光る。守備力や俊足も評価され、森山良二3軍監督も「身体は小柄だけど、守備も堅実だし、バッティングもコンタクト率がある」と評価していた。1軍での日々に西尾自身は「甲子園とか神宮大会とか行ったことがなくて、あまりツイてないと思っていたんですけど、ここに来てツイてますね。多分、名前は1軍の監督、コーチ、スタッフの皆さんに覚えて頂いたと思うので、そこは良かったです」と語った。

 受け身で1軍の日々を過ごしたわけではなく、貪欲に学んできた。「スピード感が全然違いました。守備では今宮さんの一歩目のスピード、ボールに入るまでのスピード。ピッチャーの球の速さ、スイングの速さ、打球の飛距離、全てが凄かった。すごく勉強になりました」と間近で1軍のレベルを体感。特に今宮健太内野手から受けた刺激は非常に大きく、そこで感じたことを早速ファームへの取り組みにも生かそうとしている。

「守備の取り組み方とか、考え方が変わりました。本多コーチにもいろいろ聞いて、いつもより高い意識を持って取り組めました」と充実感を滲ませる。今宮のステップの大きさについて気付きを得た。「自分は捕ってからのステップが小さくて、送球に繋がっていなかったんですが、今宮さんはステップが大きいので、一発で強い球を投げられるのかなと思い、そのことを本多コーチに聞いてみました」という。

 自身の持ち味について「体型的には足が速くないといけないんですけど、普通なので。タイプ的に走塁、守備からだと思うんですけど、自分の1番の持ち味はバッティングです」という西尾。「野手のいないところに打つ」という自分らしさを武器にする西尾の歩みに注目だ。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)