小久保2軍監督も高評価 田浦文丸の真っ直ぐが力強くなった和田毅からのアドバイス

ソフトバンク・田浦文丸【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・田浦文丸【写真:藤浦一都】

昨季は封印していたチェンジアップも斉藤和巳コーチからの言葉で復活

 ファームで評価を高めている男がいる。ソフトバンクの小久保裕紀2軍監督が「今(1軍から)誰かって言われたら1番最初に名前を挙げる」と語るのが、今季6年目となる左腕・田浦文丸投手だ。

 4日にタマスタ筑後で行われた春季教育リーグ・オリックス戦で8回に登板すると、1回を無安打無失点。7日の同・中日戦でも8回にマウンドに上がり、先頭打者に安打を許したが、後続を併殺打に打ち取るなど3人で切り抜けた。9日の同戦でも1イニングを無失点に封じた。

 小久保2軍監督が絶賛していたのは真っ直ぐの力強さだ。7日の試合後も「今日も145キロぐらいでしたけど、真っ直ぐが良くなったんで面白いんじゃないですか」と高評価。田浦自身も「真っ直ぐが強くなったので、変化球でもカウントが取れやすくなりました。真っ直ぐが良くなることで変化球も良くなった。やってきたことが出てきたかなと思います」と手応えを口にした。

 キッカケを掴んだのは、今年1月に弟子入りした和田毅投手との自主トレだった。トレーニングはもちろんだが、和田から投げ方に関するアドバイスを受け、良い感覚が得られた。「僕は(リリース時に軸足の)左脚が伸びきってしまっていたんですが、そこを変えるだけでボールが良くなりました」と説明する。

 リリース時に軸足が地面から離れてしまい、脚が伸びるフォームから、軸足に体重を残し左脚を屈曲したまま投げるように修正した。「実は去年もちょっと教えてもらっていたんですけど、そこまで重要な事だと思っていなくて……。自主トレで改めて教えてもらいました」。右の速球派投手の映像を見て参考にしていたが、和田との自主トレを経て「左投げと右投げで身体の使い方は違うと思いました」と語る。

 田浦と言えば、最大の武器はチェンジアップだ。かつてダルビッシュ有投手(パドレス)にも絶賛されたほどの、田浦の代名詞的な存在だった。しかし、昨季はその“魔球”を長く封印していた。「曲げようと欲が出た」と本来持っていた感覚を失っていた。ストライクゾーンにいかなくなり「1球ボール球を放るのはもったいない」と選択肢から消していた。

 その考えを覆されたのは、昨季終盤に解説者として球場に訪れていた斉藤和巳氏(今季から1軍投手コーチ)にかけられた言葉だった。「お前は何でプロに入ったんだ? チェンジアップが良くて入ったんだろ?」。田浦はハッとさせられた。フェニックス・リーグから再びチェンジアップを使うようになり、現在は「空振りも取れています。もっとレベルアップしていけたらなと思います」と自信を取り戻している。

 現在のチーム状況を踏まえると、左投手の台頭は欠かせない。田浦にかかる期待も大きいだろう。真っ直ぐの力強さが増し、武器を取り戻した田浦が、1軍の枠を虎視眈々と狙っていく。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)