「ポスト嘉弥真」を目指してサイドスロー転向 大城真乃に発覚した“まさか”の課題

ソフトバンク・大城真乃【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・大城真乃【写真:上杉あずさ】

「左バッターを抑えるのがメインなのに、左バッターが苦手」

“ポスト嘉弥真”襲名へ――。新スタイルで勝負をかける育成3年目の大城真乃投手が筑後キャンプで試行錯誤を続けている。2020年育成ドラフト7位で宜野座高から入団した左腕は昨季、2軍で公式戦デビューを果たしたものの、主戦場は3軍だった。3軍では先発としてチーム最多のイニング数を投げるなど経験を積んだ。

 手応えを感じたシーズンだったが、今季は新たな挑戦に乗り出した。サイドスローへの転向。球団による動作解析の結果、サイドスロー向きだと言われたことがキッカケだった。3年目の飛躍を誓って、思い切って横手投げに挑戦。1月にはサイド左腕としてチームで確固たる地位を築いている嘉弥真新也投手の自主トレに参加し、貴重なアドバイスを貰った。

 ただ、筑後でキャンプを過ごす大城はまだ模索し続けていた。「サイドスローはだいぶ定着しましたけど、左バッターを抑えるのがメインなのに、左バッターが苦手だということが発覚しました……」。キャンプで打撃投手を務めた際に、思いもよらない課題に気付いてしまった。「左を抑えないといけないのに、左を抑えられなかった。本当に練習しないとダメです」と頭を抱えた。

 若田部健一3軍投手コーチは「良い部分と課題が見えてきた。ブルペンでの内容はいいし、しっかり投げきれるんだけど、打撃投手になると制球が不安定なところが出てきた。特に左バッターに対する実戦での経験、練習が必要」と語る。大城自身も「実際にバッターが立ったら怖くなっちゃって。もっと練習しないと、嘉弥真さんのような役割は果たせない」と反省しきりだった。

 自主トレを共にしたことで“後継者”への思いはより一層強くなった。「嘉弥真さんは優しい人です。キャッチボールした時にボールの強さを体感しました。今までテレビで見ていたのとはまた違って直に感じられました」と先輩左腕の凄みも改めて知った。凄さを体感できたことで、憧れは強くなる一方。同郷の先輩の背中を追いかける覚悟も固まった。

 課題は見えたものの、若田部コーチは「腕を下げたことに関しては今のところ問題なくやれている。これができるようになれば、2軍レベルでも今年は挑戦できるのかなという現状」と評価もしている。上から投げている時は先発要員だったが、今年は中継ぎ起用を通達されている。

 直球のキレは以前から持ち味だったが、サイドスローになっても「1球1球力強い球を投げていて、威力は今の方がある」と若田部コーチ。課題を克服すれば、リリーフとしてのブレークも期待できる。キャンプでの目標は「とにかく左バッターを抑えること、それだけです。それを意識して頑張ります」。黙々と課題克服に向けて突き進んでいく。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)