オフは東浜巨に弟子入り 育成4年目・重田倫明が味わった筑後キャンプの悔しさ

手締めの音頭をとったソフトバンク・重田倫明【写真:上杉あずさ】
手締めの音頭をとったソフトバンク・重田倫明【写真:上杉あずさ】

4年目の今季は「長かったですけど、その分充実していた」

 18日に宮崎と筑後で打ち上げを迎えたホークスの秋季キャンプ。ファーム本拠地「HAWKS ベースボールパーク筑後」で行われてきた若手たちのキャンプで手締めを任されたのは、育成4年目の重田倫明投手だった。

 輪の中心に立つと「ホークスは層が厚いといろんな方に言ってもらえる球団ですが、それは今まで作り上げてきた選手たちがいたからこそ、そうなったと思います。この先、そう言われるようなチームにするためには、今下積みをしている育成選手、もしくは若手の選手がその気持ちを持ってこの先やっていかないと、そういうチームにはならない。明日からオフに入りますが、その気持ちをもって、ホークスの自覚をもって過ごしていきましょう」と語った。

 2軍、3軍でもがく選手にとって、選手層の厚さというのは、支配下昇格、1軍昇格に立ちはだかる大きな壁となる。重田自身、育成で入団して4年目だが、今季も背番号3桁のままでシーズンを終えることになった。コツコツと努力を続け、春のキャンプ、オープン戦ではA組に抜擢された。支配下昇格が見えそうなところまでは這い上がるも、その狭き門をくぐり抜けることは出来ていない。層の厚さを身に染みて感じている1人だ。

「4年間で1番長かったです。それだけいろんな経験させてもらったり、いろんな立場で投げさせてもらって、先発からクローザーまで全てやらせてもらいました。長かったですけど、その分充実していたのかなと。そういうシーズンでしたね」と今季を振り返る重田。4年間で1番長かったという言葉からは、この1年の試行錯誤がうかがえる。

 今季は2軍で自己最多の44試合に登板して7勝3敗4セーブ、防御率は3.10を記録した。先発、中継ぎ、抑えと全てのポジションでフル回転。昨季までの3年間で、2軍戦登板はわずか12試合。それを大幅に上回り、結果も残したが、支配下登録を勝ち取るほどのインパクトは残すことは出来なかった。

 迎えた秋のキャンプ。重田は宮崎組ではなく、筑後組に振り分けられた。「この今の立場を理解しつつやるっていうのは悔しい気持ちが強かった。今年1年間、2軍でずっとやってきたんですけど、少しでも来年に繋がるようなことをしていければ、と気持ちを持ってやれたかなと思います」と悔しさを滲ませる。手締めの最後に重田は「今上にいる選手たちにフォーカスが行くんじゃなく、僕たちが1人でも多くフォーカスしてもらえるような選手になりましょう」と誓ってキャンプを締めくくった。

 重田は今オフ、東浜巨投手の自主トレに参加する。シーズンを通して1軍で投げる選手がどのようなトレーニングをし、どんな取り組みをしているのかを学ぶ。「オフシーズン、自分でやりたいこともありますけど、自分じゃできないこととか、巨さんがどういう気持ちでやってきたのかとか、シーズン中こういうことやったらいいよとか、いろんなことを学んでいけたらなと思います」。来季から始まる4軍制で『選手層の厚いホークス』でのチーム内競争はさらに激しくなる。来季が5年目となる重田は覚悟を持って、このオフでの成長を目指す。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)