小久保2軍監督が語る野村大樹と増田珠 1軍定着のために克服すべき課題とは?

ソフトバンク・増田珠(左)と野村大樹【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・増田珠(左)と野村大樹【写真:藤浦一都】

「守れるポジションも被ってるし、脚の速さも肩の強さも全部似てる」

 9日にナゴヤ球場で行われたウエスタン・リーグの中日戦に6-4で勝利したソフトバンクの2軍。12安打を放った打線の中でも、特に存在感を見せたのは、増田珠内野手と野村大樹内野手の2人だった。増田は3打数2安打1打点。先制点を呼び込む四球も選んだ。野村大は4打数2安打2打点。増田、リチャードの連続四球後に先制適時二塁打を放った。

 2人は8月後半、新型コロナウイルスの影響で主力選手が大量離脱したチームを救った。チームにとって1番キツい時期に、バットでチームを牽引し、首位を守り抜く原動力になった。ただ、主力が続々と復帰。野村大は9月3日に、増田は同5日にそれぞれ出場選手登録を抹消となり、ファームへと戻ってきた。

 藤本博史監督も「落ちていくメンバーには、本当にもう『ごめんなさい』しか言えないんだよね。みんな頑張ってくれたから。状態悪くて落ちていくわけじゃないからね。1番大変な時に勝ち越せたのは、野村大樹とか増田とか谷川原、正木、この辺のおかげやからね」と苦渋の決断だったことを明かしている。増田も野村大も当然悔しかったはず。この日は降格後、初の2軍戦出場で、2人ともに結果を残した。

 小久保裕紀2軍監督は、降格してきた2人ともしっかり話をしたという。「本人たちと話した感じでは、実力的に(1軍の)ボールに太刀打ち出来んなとか、そういうのは感じなかったということでしたし、そこは自信にしていいと思う」と、それぞれが確かな手応えを感じていたと明かす。

 その一方で、1軍で試合に出続ける中で、課題と感じたこともあったよう。「1軍の勝ちゲームの終盤に出てくるピッチャーのレベルの高さは感じたみたい。でも、そんなの主力選手でも打てないんで。そこは悲観しなくていいと思う。それを打ってたら、もうレギュラーになってる。でも、そこの違いは感じていたみたいよ」と小久保2軍監督はいう。

 2人が今後、1軍に定着するために必要なことは何か。「大樹にしても増田にしても、あの2人は同じタイプのバッターなので、アイテムを増やして、少しでも守れるポジションを増やして、何とか我慢して使えるなと言うところ、もしくは打つところで抜けてしまわないといけない」と小久保2軍監督。2人はともに守備位置は一塁と三塁(増田は外野も守ることができる)で「同じタイプなので、守れるポジションも被ってるし、脚の速さも肩の強さも全部似てるわけなんで。切磋琢磨しながらやって欲しいですけどね」と続けた。

 実際、野村大は「珠さんが打ったら絶対自分も打ってやると思いました」と闘志を燃やす。藤本監督はこの先、シーズン終盤に“右の代打”候補として増田、野村大の昇格の可能性について語っている。とはいえ、ポジション的にも1軍再昇格の切符を掴めるのはどちらか1人。熾烈な優勝争いはまだ続く。10日からは怒涛の11連戦も始まる。ファンの期待も大きい若鷹2人。来たるチャンスのため、ファームで熱い戦いを繰り広げる。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)