鷹2軍を救った育成13位・佐藤琢磨 急きょ北海道から呼び戻されて掴んだ公式戦初勝利

ソフトバンク・佐藤琢磨【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・佐藤琢磨【写真:上杉あずさ】

突然巡ってきた2軍初登板のチャンス「言い訳にはしたくなかった」

 11日にタマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグの中日戦で、1人の育成左腕がソフトバンクの2軍の救世主になった。育成13位ルーキーの佐藤琢磨投手。急遽巡ってきた2軍公式戦初登板初先発のチャンスで5回3安打無失点と好投して“プロ初勝利”。4つの四死球などで再三得点圏に走者を背負ったが、ホームを踏ませぬ粘りの投球でチームに勝利を呼び込んだ。

「最初ピンチを背負ったんですけど、野手の方々に良いプレーで守っていただいて、本当に安心して投げられました。3回以降は自分でも、しっかりボールを投げ込めて試合を作れたかなと思います」。3、4回は先頭に安打を許したが、いずれも併殺でリズムよく切り抜けた。5回は3者凡退で凌いだ。

 突然の2軍戦初登板のチャンスだった。ソフトバンクの2軍は新型コロナウイルスの陽性者が続出しており、登板可能な投手の数が限られる試合が続いていた。毎試合、使える投手の人数がギリギリの状況で試合を行っており、小久保裕紀2軍監督も厳しい台所事情に苦悩していた。

 さらに11日に先発予定だった笠谷俊介投手までもが、新型コロナウイルス陽性判定を受けて離脱することに。先発投手いなくなったため、タンチョウリーグ参戦のために北海道遠征中だった3軍から佐藤琢を急遽、福岡に呼び戻す形になったのだ。佐藤琢が北海道から福岡に戻ったのは、試合前日10日の夜だったいう。

「最初びっくりしたんですけど、やっぱりチャンスだなと思って。帰ってきて悪いピッチングして、それを言い訳にはしたくなかったんで、本当にできることをして試合を作れたんで良かったです」。涼しい北海道から長距離移動しての初先発というイレギュラーな形での“公式戦初登板”だったが、見事に結果を出してみせた。

 新潟医療福祉大から育成13位でソフトバンク入りした左腕の佐藤琢。打者に向かっていく強気な投げっぷりが魅力で、ポテンシャルの高さを評価されてきた。入団からここまでは、3軍で主に先発として登板を重ねてきた。常時140キロ前後の真っ直ぐに手応えを感じていたが、この日手応えがあったのはカットボールだった。

「カットボールが良くて、左バッターだったらインコースに真っ直ぐを上げて、外のカットで振らせられたので、そこが良かったのかな。ストレートの球威があまり出てこないので、カットボールとフォークを織り交ぜて打ち取るピッチングをしていきたい」と佐藤琢。小久保裕紀2軍監督も「どうやって今日試合しようかなっていう中で、5回投げてくれたのは助かりました。まさかゼロで抑えると思ってなかったんでビックリしました」と目を細めていた。

 ちなみに佐藤琢はこんなエピソードも明かした。「今日は朝4時ぐらいに目が覚めました。いつも本当にギリギリでアラームでも起きないくらいなんですけど……」と緊張で早朝に目が覚めたという。「タマスタでこれだけ多くの方に見られるのが初めてだったので、気を引き締めて臨んで、ファンの方々に良いピッチングが見せられて本当に嬉しい」と公式戦初勝利の味を噛み締めていた。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)