かつて断った外野転向…「プロに行けない」
27歳が新たなポジションに挑む。タマスタ筑後で行われている秋季練習で、大友宗捕手が外野の練習に本格的に取り組んでいる。これまでも試合で守る機会はあったが、「ほぼ初心者です」と苦笑いを浮かべる。それでも、今秋は外野守備の向上に比重を置くことを決めた。「自分の価値を高めるために、1つの選択肢としてあってもいいのかな」。その決断には、プロ野球選手として生き残るための考えがあった。
今季は育成2年目。同期入団で同学年の川口冬弥投手が構想外となった。「冬弥とは境遇がほぼ一緒だったから。そこで話せることもあった」と寂しさをにじませつつも、大友自身もいつまでも“同じ場所”にとどまってはいられない。この秋は台湾のウインターリーグに参加することも決まっている。「来年は育成3年目の年。いい加減けじめをつけたい」。28歳を迎える来シーズンを前に、支配下登録への思いは強い。
ただ、大友にはどうしても譲れないものがある。外野に挑戦する一方で、捕手を辞めるつもりはない。「キャッチャーというポジションを消すのはもったいない」。実は、外野手への転向を打診された経験は、これまでもあった。かつて自ら断った道に、なぜ今になって踏み出すのか。その答えには、大友の野球人生に対する考えが表れていた。
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この先で分かる3つのこと
社会人時代、外野打診に「辞めよう」と思った切実な理由
高谷コーチが語る、大友宗の外野挑戦に込めた「真の狙い」
支配下へ挑む台湾で突き詰める、打撃面の「明確なテーマ」
「外野手の話があったり、ちょっとやったりもしていたんですけど、がっつりやるというよりかは『キャッチャーがメーンで』という感じだったので。社会人の時も『本格的にセンターをやろうか』と言われたことがあるんですよ。その時には『もう辞めよう』と思ったんです。社会人で野球を長くやるんだったら、外野手になる選択肢ももちろんあったんですけど、プロになりたかったので。外野手で、社会人からプロになっている選手を見た時に、今から始めてあと1年でプロになるのは絶対無理だと思ったんです」
社会人時代に所属した日本通運でも、同じように外野への道を勧められていた。だが、その時は選ばなかった。プロ入りを目指す中で、どうしても捕手として勝負したかったからだ。一方、今になって再び外野に挑戦することについては、前向きに捉えている。
「逆に言うと、どこ(のチーム)に行っても『そういう適性がある』というふうに見られているのかなって思うので。何かを活かしていくと、コーチ陣は考えてくれているから、逆にプラスでもある。ただ、捕手へのこだわりはあるので、そこは消さないようにやっていきたいです」
捕手へのこだわりを胸に、新たな可能性を広げる
捕手への思いは今も変わらない。昨年から取り組んできたフレーミングでは、約1年で確かな手応えをつかんだ。膝をついた状態で捕球する「ワンニー」にも取り組み、自分なりにレベルアップした実感がある。高谷裕亮2軍バッテリーコーチも、大友の捕手としての成長を評価。外野挑戦については「ポテンシャルを生かすためです」と説明した。強肩と俊足を併せ持つ27歳は、自らの大きな武器をなんとか活かそうと試行錯誤している。
「キャッチャーでは自分なりにできることが増えて、今あるスキルをレベルアップしていく段階。自分の野球人生を長い目で見た時に、キャッチャーというポジションを消すのはもったいないなと。新しくチャレンジしていくのは、自分の可能性を広げるためです」
台湾では打撃面でも自分と向き合う。こだわるのは、バットの芯でどれだけボールを捉えられるかだ。「『芯ミート率』と言って、芯でどれだけ捉えられるかというのを高めていきたい」。試合ごとにテーマを設け、失敗も含めて自分の引き出しを増やしていく。守備では捕手と外野の両方で実戦経験を積むことが目標だ。「とにかく試合に出て、試合勘を感じたい」。異国の地で得る経験を、来季の勝負につなげるつもりだ。
もう挑戦だけで終わるわけにはいかない。「やるからには、支配下になるために、1軍の戦力になるためにやらないと」。いつも通りの爽やかな笑顔を見せながらも、時折険しい表情を浮かべて語る大友。捕手としての誇りを持ち続けながら、外野という新たな武器を必ず自分のものにしてみせる。
(飯田航平 / Kohei Iida)