5番から柳田、中村晃、今宮…長谷川コーチが明かした意図
黄金期を支え続けた3人のスターが並ぶように配置された先発オーダー。そこには“演出家”の優しい意図が隠されていた。中村晃内野手を送り出すだけではなく、ともに戦ってきたチームメートにも「引退試合」を噛み締めてもらおうとしていた。
中村晃のラストゲームとなった27日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)。試合前のスタメン発表から、本拠地は大きな歓声に包まれた。5番に柳田悠岐外野手、6番に中村晃、7番に今宮健太内野手。背番号7が「特別な存在」と語る盟友2人に挟まれる形となり、引退試合を彩るにふさわしいラインナップが並んだ。
打順を決めたのは長谷川勇也打撃コーチ兼スキルコーチだった。中村晃とともに現役時代をともにし、黄金期を駆け抜けた“演出家”が込めた温かい思い。チャンスでの打席で今宮が思わず漏らした「あれはたまらない」――。主役の中村晃も「ご褒美ですね」と頬を緩ませた。あまりにも粋だった打順の真相とは。
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この先で分かる3つのこと
当初は別の打順案も…長谷川コーチが語る粋な並びの裏側
柳田と中村晃の連打後…今宮健太が「たまらない」と語る訳
柳田・今宮との並び…中村晃が「ご褒美」と喜んだ真意
当初は2番のプランも…首脳陣が明かした舞台裏
「最後はね、長くやってきた2人(柳田、今宮)に“一緒に試合をやっていること”を実感してもらえたらなと思って、あの並びにしました」
中村晃はもちろん、柳田と今宮にも盟友とのラストゲームを存分に味わってもらいたい――。そのために、5番から3人を並べたことを打ち明けた長谷川コーチ。中村晃は、若手時代に自主トレをともにした関係だ。「怪我もなく、しっかりとフル出場できましたし、最後の1本をファンの皆さんに見せることができたので。良かったんじゃないかなと思います」。ベンチから最後の勇姿をしっかりと見届けた。
村松有人野手チーフコーチも「長谷川コーチが考えてくれました」と笑顔で振り返る。当初は中村晃を2番に置く考えもあったというが、小久保裕紀監督の考えも踏まえ、最終的には6番で落ち着いた。どうすれば選手とファンに、一番喜んでもらえるか――。首脳陣も一丸となって、この引退試合を彩っていた。
初回のチャンス…今宮健太も「あれはたまらない」
見せ場は初回にやってきた。近藤健介外野手の2ランで先制すると、2死から柳田と中村晃が連打。2死二、三塁という状況で打席に向かった今宮だが、その胸中はドキドキだったという。
「ヒット、ヒットになった時は『本当にやばいな』と。あれはたまらなかったですね。2人が打った後だから『なんとかせんと』と思った。そこは四球で、(山本)祐大が打ってくれましたね」
前を打つ2人が作ったチャンス。いつもとは少し違うような重圧が、その背中にはのしかかっていた。今宮が四球でつないで満塁になると、山本祐の適時内野安打で3点目を挙げた。背番号6は7回に2号3ランを放つなど、4安打の大活躍。「完全に晃さんのおかげ。今シーズンになかった結果が出ましたし、このゲームがきっかけになるように頑張っていきたいです」。力強い口調で、この先に待ち受けているポストシーズンを見据えていた。
「朝から泣きそうだった」と語った“主役”の中村晃。試合前練習での牧原大成内野手とのキャッチボールや、背番号7のTシャツで姿を見せた栗原陵矢内野手の思い……。感情を揺さぶられるシーンは数多くあったが、3人で並んだスタメンこそ、19年間を全力で駆け抜けてきた「ご褒美」だった。
「柳田さん、健太と3人で5、6、7番で試合ができたことも、本当に最高の1日だったと思いますね。健太はとんでもなく打って、疲れて代わっていましたけど(笑)。最後に怪我なく、3人でプレーできたのは、本当に今まで頑張ってきたご褒美なのかなと思います。嬉しかったですね」
柳田、今宮よりも一足先にバットを置くことを決断した。3人で作り上げたホークスの“黄金期”。その記憶は、ファンの中で永遠に輝き続ける。
(竹村岳 / Gaku Takemura)