ベッドの上で知った“無情のニュース”
ホークス2軍は16日、ファーム・リーグ西地区優勝を飾りました。鷹フルでは選手はもちろん、首脳陣にもスポットライトを当てながら2026年シーズンを振り返っていきます。今季が育成3年目の大泉周也外野手は、支配下登録期限を迎えたタイミングでリハビリ組にいました。「僕らしいです。いつも遠回り」。そう語った27歳のバットから放たれた一発には、想像を絶する苦悩と執念が詰まっていました。
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全てを吹っ切る、迷いのないスイングだった。その打球からは、この男が抱えていた幾重もの思いが感じられた。9月13日のファーム・リーグ広島戦。約1か月ぶりにグラウンドへ戻ってきた大泉が放った強烈な一打は、タマスタ筑後の右翼ネットに突き刺さった。育成で入団し、今年が3年目。16日に27歳の誕生日を迎えた。今季にかける思いは人一倍強かったが、無情にも「吉報」は届かなかった。3桁の背番号のままで迎えた8月。そのタイミングで約1か月のリハビリ生活を余儀なくされた。
「モチベーションがなくなったのか?」――。そのような言葉をかけられることもあったが、そんなはずがなかった。リハビリを経て、実戦復帰を果たしたばかりの大泉が放った強烈な本塁打。その裏側には、限界まで自身を追い込み続けた男が誰にも打ち明けなかった「壮絶な日々」があった。
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この先で分かる3つのこと
支配下登録期限の直前に大泉周也が漏らした「切実な本音」
支配下落選を知った直後、大泉の身を襲った「驚愕の異変」
周囲の誤解を跳ね返した「絶対に腐らない」覚悟と復帰弾
「頑張ってご飯も食べていたんですけど、体重は減りました。すごく考えすぎて眠れなかったことも結構あったので。しょぼいですよね……」
6月末のことだ。支配下登録期限まで残り1か月と迫った中で、大泉は“本当の気持ち”をこぼしたことがあった。育成選手にとっての“運命の日”が刻々と近づく中、身体に異変が起こった。リハビリ組に移管する要因となった左臀部に、少しづつ痛みを感じるようになっていた。
入団時から2桁背番号を勝ち取るという思いだけで、必死にバットを振り続けた。今季は2軍で打撃好調だったこともあり、支配下の筆頭候補に名前が挙がるまでになった。大泉の中にもあった確かな手応え。だが、届いたのは“無情な知らせ”だった。7月27日に支配下登録されたのは、張峻瑋投手、ルイス・ロドリゲス投手、小林樹斗投手の3人。期限4日前に埋まった「3枠」が意味することは、大泉にも分かっていた。
自身の意思とは裏腹にぶり返した痛み
そのニュースをベッドの上で目にした瞬間に、耐え続けてきた臀部の痛みが限界を迎えた。
「『ダメだったか』と思ったら、足がバキッと固まって。その日はもう起き上がるのもしんどかったですね……。不思議なものですよね。アドレナリンというか。そんなこともありましたね」
期限ギリギリまで支配下登録のためだけにやってきたが、トレーナーに相談すると、リハビリ管轄になった。時期が時期だっただけに、周囲から誤解されかねない状況だった。それでも、大泉は必死に前を向き、もがき続けることをやめなかった。やめるはずがなかった。
「落ち込んでいても何も変わらないですし。支配下のことも、怪我のこともそうですけど、もちろん悔しかったです。だけど、パワーアップして帰ろうという気持ちでやっていたので。頭も整理できたし、自分的にはしっかりとした1か月間を過ごせたと思っています」
リハビリ中には自身の弱点にも向き合った。ウエートトレーニングの量を増やし、打撃マシンを無心で打ち込んだ。気持ちが沈んでしまってもおかしくない日々を、心身を整理する時間へと変えた。復帰後2戦目に放った本塁打は、確かな成長を感じることができた。「俺はこれだけの打球を打てるんだ」と言わんばかりの豪快弾。「完璧でした!」と声を弾ませた大泉の目の輝きは、期限を迎える前と何一つ変わっていなかった。
「吹っ切れているので。自分の野球人生のためにやるしかないですね。長い道のりですけど、また頑張りますよ。いつも遠回りするところが僕らしいですけどね」。そう語る表情に迷いや焦りはない。どんな逆境にも屈しない男の揺るぎない覚悟がにじむ。そして最後に力強くこう残した。
「僕は絶対に腐らないですよ!」
(飯田航平 / Kohei Iida)