本拠地がどよめきに包まれた。周東佑京外野手が見せた、衝撃のスーパープレー。チームメートも、首脳陣も度肝を抜かれた好守が、3連覇へ突き進むホークスにさらなる勢いをもたらした。
8日にみずほPayPayドームで行われた日本ハム戦。優勝を争うライバルの反撃の芽を摘み取ったのは、2点リードで迎えた3回だった。先頭の水谷が放った打球は、右中間を襲う大飛球になった。猛然と背走した周東はフェンスをものともせずに飛びつくと、伸ばしたグラブにボールは収まった。周東はそのままフェンスに激突したが、掴んだボールは離さなかった。
「彼がセンターを守っていなければ、防御率は今よりもかなり上がっているというくらい、すごく貢献度が高いので」。ベンチで驚きの表情を浮かべていた小久保裕紀監督も絶賛した“超絶美技”。このとき、周東には何が見えていたのか。誰をも魅了する守備の真相が明かされた。
「あれは捕れるとは思わなかったです。打球も思ったより速かったですし、高さ的にも『ジャンプして届くかな?』と思ったので。捕れるとは思わなかったですけど、グラブに(ボールが)入ってよかったです」
周東自身も驚きをもって振り返ったプレー。ただボールを掴み取るまでの間、“次元の高さ”を感じさせる景色を周東は見ていた
「ホームランはないなとは思ったので。あとは打球の速さに追いつけば。フェンスに当たる(自分との)距離は途中で見たので。あの辺で捕れば大丈夫かなと思って」
打球を追いながらも一瞬、目を切ってフェンスとの距離を確認。どの辺りでジャンプをすれば、安全な形でフェンスに体を預けられるかを測っていた。当然、フェンスが迫る恐怖心はある。「怖いですけど、怪我しても、怪我しなくても(もうすぐシーズンは)終わりなので」。勇気ある判断だった。
ファンを沸かせたスーパープレー。ただ、周東自身はあっけらかんと振り返る。「場面的にそんなに良い場面じゃなかったので。これまでのプレーと比べても、5本の指には入らないんじゃないですか(笑)。みんなに投票してもらって、決めていただきたいなと思います」。そうおどけつつも、会心のプレーに胸を張った。
バットでも輝いた。初回、死球で出塁した正木智也外野手を一塁に置き、山﨑から先制の3号2ランを右翼席に叩き込んだ。8月11日のロッテ戦以来、22試合ぶりのアーチを放つと、8回2死満塁のチャンスで放った打球は右翼フェンスを直撃。大きく跳ね返ったボールが外野を転々とする間に一気にホームを駆け抜けて、ランニング満塁本塁打になった。
「(ランニング本塁打は)僕は入ると思って途中まで走っていたので。(相手外野手が)ジャンプしたのを見て『違う』と思って。一塁を回ってちょっとくらいで走り出しました。ホームまでいけるとは思わなかったですけど、三塁くらいまではいけるなと思ってました」
フェンスで大きく跳ねた打球を見てから、猛然とスピードを上げたという周東。野手が打球処理にもたついているのは見えていなかった。「もう背中越しだったので、見えていなかったです。大西さんが(腕を)回しているのを見て『早く(ホームに)着け』と思いました」。状況はわからないまま、一気にホームを駆け抜けた。
再三の好守と、2本塁打6打点の大暴れ。優勝を目前にして、チームを牽引してきた周東の躍動はチームを再加速させることは間違いない。「去年、一昨年に比べたら、今年はそんなに体の状態も悪くないですし、めちゃくちゃ痛くて動けないという日もないので。本当に体のコンディションは良く、ここまで出来ているのかなと思います」。3年連続の頂点に立つまで、攻守で突っ走っていく。