3回に2失策が絡んで4失点…試合後に語った野手への思い
マウンド上の立ち居振る舞いには「エース」たる熱い気持ちが満ち溢れていた。味方の失策が重なったピンチにも決して動じず、気迫を前面に押し出してアウトを重ねてみせた大津亮介投手。その凛とした姿に、首脳陣も「頼もしかった」と厚い信頼を寄せた。敗戦の中で見せた確かな成長の証と、自ら語った「背負う覚悟」。その真意とは。
29日に行われたオリックス戦(京セラドーム)で、今季19度目の先発マウンドに上がった大津。ピンチを迎えたのは3回、2安打と失策が絡んで無死二、三塁となった。ここから背番号19はギアを上げる。リーグ2位の得点圏打率.358を誇る宗を三邪飛に仕留め、来田には“伝家の宝刀”であるチェンジアップを駆使して空振り三振に斬った。切り抜けるまで、あとアウト1つ――。太田が放った打球は、三塁に飛んだ。
これを処理した栗原陵矢内野手だったが、一塁に悪送球。今季11個目の失策で、走者2人が生還し先制点を献上した。その後も紅林、山中に適時打を浴びて4失点。自責はゼロながらも、右腕は4敗目を喫した。
試合中に広報を通じて配信される選手のコメント。大津は「失点してしまった3回は、エラーもありましたが、ピンチを作ったのは自分。いつも助けてくれる野手の方のミスを、自分がカバーできなかったのが悔しい」と口にした。ゲームセット後、自らの言葉で明かした野手への思い。そして、あらためて痛感した“エースの偉大さ”があった――。
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この先で分かる3つのこと
4失点後も切らさぬ気持ち…倉野コーチが語る大津亮介の成長
「エースは毎年こういう気持ち」大津亮介が実感した責任感
先輩・上沢の背中を追って…大津亮介が目指す投手としての信頼
ミスの後も集中した姿…倉野コーチ「頼もしかった」
「ミスの後、カバーできなかったところが実力不足だなと思いました」
宗、来田に対する気迫は全面に出ていた。「ゾーンに入って、ここは絶対にやれないという気持ちで全力で投げていました」。4失点を喫したものの、結果的に野手陣が1点差にまで迫り、勝つチャンスを残したのは追加点を与えなかったから。投げ抜いた6回まで気持ちを切らさなかったのも「あそこで試合が終わったわけではないので、自分の仕事を最後まできっちりやろうと思っていました」と振り返る。
投手陣としても、常に求めるのはチームの勝利。痛恨の敗戦だったのは確かだが、大津の姿に倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)は“頼もしさ”を抱いたという。
「ミスに動揺はあったのかもしれないですけど、4回以降、気持ちを切り替えて投げる姿は頼もしかったですし、それは収穫かなと思えました。あの中でも、自分がやるべきことにしっかりと集中できていたのかなと思います」
開幕からローテーションを守り、19度の先発登板はチームトップ。その一角を託し続けることで、首脳陣にとっても毎週のように新しい発見が続いている。この日マウンドで貫いた姿からは、投手陣の柱たる強い自覚を感じ取った。「開幕当初のいい投球が戻りつつあるのかなとは思いますね」と倉野コーチ。反省点は当然あるが、集中力を発揮し続けたピッチングはあらためて信頼を厚くするものだったはずだ。
「信頼がないとそこまで投げさせてもらえない」
2024年は7勝、2025年は6勝を挙げた大津。どちらのシーズンにおいても2軍調整を経験するなど、年間を通してローテーションを守ることができなかった。成長した姿を見せ続ける今シーズン。離脱することなく、戦いの最前線に立ち続けることで、右腕の気持ちにも少しずつ変化が生まれている。
「僕からすると『エースは毎年こういう気持ちで投げているんだな』と思います。僕は初めてで、キツさも実感しながら大変だなとは思うんですけど。この世界は結果が全てなので、一流の選手になるには毎年結果を残せるように。僕自身、チーム状況的にも苦しいスタートではあったんですけど、今年こそローテで回るというのが目標の1つだったので。ここまできたらなんとしても達成したいです」
27歳の右腕が、自ら口にした「エース」という言葉――。勝つ喜びも、チームを背負ってマウンドに立つ責任感も味わっている2026年だからこそ、その自覚を強く感じた。「上沢(直之)さんの過去のイニング数とかも知っていますけど、信頼がないとそこまで投げさせてもらえない。この強いホークスで信頼を得て、安心感を持ってもらえるように僕も頑張りたいです」。1人の若鷹という枠を飛び越えて、背番号19は今、「ホークスのレギュラー」へと飛躍を遂げようとしている。
試合後、バスに乗り込む前。右腕は報道陣を前に足を止めて、毅然とした口調で取材に応じていた。その姿の1つ1つから、風格が漂い始めているのは確かだ。誰しもが認める「エース」に、大津亮介なら必ずなれる。
(竹村岳 / Gaku Takemura)