8月5日に中村晃の自著「いつだって、勝つために」が発売
リーグ3連覇に向けて、いよいよ後半戦の戦いが始まったホークス。今季限りでの現役引退を表明した中村晃内野手が記した自著「いつだって、勝つために」(ベースボール・マガジン社)が8月5日から発売される。優勝に欠かせない戦力となるため、ファームで調整を続けている36歳。なぜこのタイミングで、自身の軌跡を1冊の本にまとめようと決断したのか。その舞台裏を西田哲朗広報が明かした。
中村晃から何気なく「見てみて」と手渡されたスマートフォン。画面を覗くと、信じられないほどの文章量で半生が綴られていた。言葉に表せないくらいに大きかった衝撃。そして、校了ギリギリで書き加えられた「決断」の真意――。文字から伝わってきたのは、背番号7の“生き様”そのものだった。
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鷹フル読者の皆さん、こんにちは。チームは前半戦を首位で折り返すことができました。当然、油断などあるはずがありません。小久保裕紀監督もおっしゃっているように、8月と9月の戦いは言うまでもなく本当に重要です。福岡に移転した1989年以降では初となるパ・リーグ3連覇を目指している道中。僕も日々、ベストを尽くして選手をサポートしたいですし、その頑張りや素顔を届けられるように頑張っていきたいです。
僕自身もインスタグラムのストーリーで「重大発表」と皆さんにも報告したのですが、晃さんの自著が発売されることになりました。甲子園に出場された帝京高時代はもちろん、小、中学校のこと、プロに入った時のお話も描かれています。これまでの歩み、人生を知ってもらう。そんな1冊になったと思いますね。現役のプレーヤーがシーズン中に本を出すというのはあまりないことなのですが、僕としても猛プッシュさせていただきました。それだけ、晃さんが残してきた「メモ」がすごかったからです。
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この先で分かる3つのこと
西田広報も驚愕!中村晃がスマホに残していた膨大なメモの衝撃
ストイックな背番号7のメモに記された、意外すぎる過去
校了直前に滑り込み執筆…中村晃が土壇場で加えた「決断」
きっかけは2年前の何気ない会話「ちょっと見て」
2024年のシーズン中だったと思います。一緒に食事をさせていただいていた時に「日記を書いている」と言われたんです。スマートフォンで、幼少期のことから振り返って綴っている、と。「ある程度書けたから、ちょっと見てみて」とスマホを渡されると、そこにはものすごい文章が書かれていたんです。まだ途中だったんですけど、生い立ちからプロ入り後の“今”まで。すぐに僕からも「これは本にしましょう」と伝えました。
広報としての意見は、現役選手がこんなにも素晴らしい思いを持ってプレーしていることを、1人でも多くの方に知ってもらいたい。伝えていきたい。晃さんにも共感をいただいたので「この思いを広めていきましょう」というのが最初のきっかけでした。
本を出すと決めて、僕から出版社に売り込みました。どんな形で出すか考えた結果、これまでも「ベースボール・マガジン社」さんにはお世話になっていますし、「全面的に協力します」と言ってもらえたので。だいぶ融通やわがままを聞いてもらって、今回発売にいたりました。ようやく発表ができて僕もホッとしています。
実は、本を出すにはかなりのステップがあります。もちろん、誤字脱字がないように何度も何度もチェックをしなければなりません。その都度の確認が必要ですし、チームも今戦っているところですからね。チームの中のことに関しては、小久保監督にも目を通してもらいました。その他にもどの出版社にするか、印税関係、社内ブランド……。クリアすることがたくさんあるんです。ただ勘違いされたくなかったのは、お金儲けをしたかったわけではありません。「入ってくるお金をどう使うか」。そのミーティングも重ねてきました。
今回、印税は「福岡市こども病院」に寄付されます。「寄付できるような形はありますかね?」と話し合ってきましたし、晃さんも「できるならやりたい」と言ってくださいました。どんな方向性にするのか、社内のいろんな方の力を借りながら、今回はこのような形になりました。
晃さんの「メモ」に話を戻すと、僕も最初に見た時は本当に驚きました。よくここまで思い出したな、と。こんなにもマメに文章を残していることは僕も知らなかったですし、膨大だったメモからはものすごいパワーが伝わってきました。内容としても、意外なところもありましたよ。学生時代はけっこうサボっていたとか、ズル休みしていたとか、鮮明に描かれているので。今はその面影は一切ないじゃないですか。包み隠さずに書かれているのが、この本の面白さです。
中村晃と話し合い…もっともこだわった「帯」
あとは引退のことですね。早ければ2025年シーズン中くらいには世に出したいと思っていたんですけど、なかなか簡単にはいかない。「本にする」と動き出したのも2024年だったので、本当は引退が発表されるまでに発売する予定だったんですけど。今季限りでユニホームを脱ぐと決断されたので「そこも入れましょうよ」と。本当に1日、2日で最後の文章を晃さんに考えてもらって、滑り込みで間に合いました。校了ぎりぎり。なんとかなりましたね(笑)
一番こだわったのは「2年かけて僕の人生を振り返り、綴ってみました」という帯の部分です。晃さんと一緒に考えました。一番伝えたかったのは「自分自身で綴った」ということです。
僕も本の発売にはこれまで何度か関わってきたのですが、ライターさんにインタビューしてもらって、書いてもらう形が多いです。だけど、今回は晃さんが自分で書かれたので、そこが一番大事なところです。「こういう思いで書きましたよ」という事実が伝わるように、帯にはすごくこだわりました。タイトルは晃さんと出版社の間で決まりましたし、今も戦っている選手なので、表紙の写真も絶対に現役のもの。いろんな人と話を重ねながら、細かいところまで詰められたと思います。
晃さんが現役でいられる間に発売ができて、ひと安心です。僕も本当にお世話になった大先輩。現役引退という決断を聞いて「まだできるでしょう」と言いたかったんですけど、「もう決めたから」と。早い段階で教えてもらっていたので、感謝の言葉を伝えるだけでした。今シーズンが終わるまで、晃さんの姿を目に焼き付けられるように。ファンの皆さんも「いつだって、勝つために」をぜひ読んでみてください。
(竹村岳 / Gaku Takemura)