4年契約の3年目…オスナが春先に語っていたキャリアの「ピーク」
心身ともに充実した状態でマウンドに上がっている。並べ続けるゼロ――。その裏側で、ロベルト・オスナ投手は自らのキャリアを「ピーク」という言葉を使って表現していた。“真横”に曲がるウイニングショット、そして圧倒的な制球力。さまざまな面から「オスナ復活」の要因に迫った。
ホークスに移籍して4年目の今シーズンは27試合に登板して0勝1敗、防御率1.00。春先は自らの契約問題が絡んで1軍登録できずにいたが、その後は「7回の男」として定着し13ホールドを挙げている。7月8日のオリックス戦(京セラ)では同点の被弾を許したが、小久保裕紀監督も「ピッチャーは悪くない」と、それまで来日最長の23試合連続無失点と、結果を残し続けていた右腕を責めることはなかった。
直近の2年は腰や右肩の不調に苦しみ、思うようなパフォーマンスを発揮できずにいた。2026年は4年契約の3年目。コンディションに対する自信は、例年以上に表情から溢れ出ていた。今年の2月に31歳となったオスナは、自らの現在地を「最高の地点にいる」と、はっきりと口にしていた。
会員になると続きをご覧いただけます
この先で分かる3つのこと
2つの要因から探る「オスナ復活」の裏側
今年の春先に語っていたキャリアの「ピーク」とは
右腕が一球に込める野手への深いリスペクトの精神
3年前にアナリストが驚愕した「真横に曲がるカット」
「31歳は、キャリアの中でも最高の地点(ピーク)にいると思う。20代から29歳まではまだ若手で、そこから力がついてくる。30歳から35歳までが一番いい時期、ピークだ。35歳を過ぎると少しずつ落ちてくるけれど、今は若くもあり、最高にいい時期だと思っているよ」
年齢を重ねれば、自分の力にも必ず“下り坂”が訪れる。それを自覚しながら、明確な意思とルーティンのもと、日々を過ごしているところだ。「25歳の時と、今とでは体も考え方も違う。自分自身もいろんな経験をして今があるし、それを活かすことができているから。年齢と経験というのは大事ですよね」。長期契約という重圧を背負い、見事に復活を遂げてみせた。心身の充実感は、現状を語る顔つきにも表れている。
シーズン中、オスナの一日はウエートトレーニングから始まる。オフ期間やリハビリ時も欠かさなかった、自分を作り上げる大切な習慣。「今はまだ20代の頃と同じことをやっていますね。30代後半になったらできなくなるかもしれないけど、まだまだ若いから。大丈夫だと思う」と力強い。ボトルいっぱいのプロテインを飲み干してから、全体練習に入っていくのが右腕のルーティンだ。
2023年は49試合に登板して26セーブ、防御率0.92という成績を残した。圧倒的な存在感を示した3年前、アナリストやチームメートは右腕の凄みについてこう話していた。「オスナのカットボールは、理論上では真横に曲がっている」。極端な表現かもしれないが、回転数や軸を踏まえて、バットに当てさせない軌道を描く。守護神として君臨した1年間、カットボールはオスナを支え続けた最大のウイニングショットだった。
6月28日のロッテ戦で見せた内角に曲がるカットボール
その“真横”に曲がる決め球でピンチをしのいだのが、6月28日のロッテ戦(ZOZOマリン)だ。2死満塁とされ、左打席に宮崎を迎えたシーン。2ストライク2ボールからの6球目、最後は内角をえぐるようなカットボールで空振り三振に仕留めた。ハーフスイングで思わず手を出してしまうほどの切れ味。「今までやってきたことが結果につながっている」と、右腕も自信を持って振り返った。
「ピッチャーとしてはなかなか難しいシチュエーションでした。2つ目のアウトを取って、なお2死満塁。だけどフォアボールを出したり、ヒットを打たれて点を取られることがあるのも野球なので。自分の後には(松本)裕樹やスギ(杉山一樹)が投げるから、抑える確率はとても高いでしょう? ゼロに抑えるという自分の役割を果たすことでチームが勝てると思っていたし、なんとか切り抜けたいと思っていたので。あの場面は非常に集中していました」
抜群の制球力も、復活を証明している。2023年は49イニングを投げて6四球、今季も27イニングで3四球にとどまっている。どんどんゾーンに投げ込んでいくことも、右腕が大切にする意識だ。「コマンドはもちろん重要なんですけど、リリーフは1イニングしか投げることがない。でも野手の人たちは2時間、3時間とプレーしているので。1分でも早く休ませるためにも、コントロールは心がけています」。相手打線を圧倒して流れを手繰り寄せるために、後半戦もブルペンの柱として右腕を振っていく。
2024年からの2年間は怪我に苦しんだだけに、今はマウンドに立てる喜びを心から噛み締めている。「健康で投げられるのは嬉しいこと。今はチームの状態も良くて、それに少しでも貢献できていたらいいのかなと。健康じゃないと投げることもできないし、今はいろんなところが上手くいっているので。とても嬉しい状況です」。表情に迷いはない。キャリアの“ピーク”である今をホークスに費やし、必ず日本一に貢献する。
(竹村岳 / Gaku Takemura)