横浜で見せた“上茶谷大河劇場” ドヤ顔の真相…映像で確認「すんごい鼻の穴、恥ずかしい」

  • 記者:竹村岳
    2026.06.16
  • 1軍
ドヤ顔でベンチまで戻る上茶谷大河【写真:井上学】
ドヤ顔でベンチまで戻る上茶谷大河【写真:井上学】

7日のDeNA戦で1回無失点…最後はドヤ顔でベンチへ

 ものすごい“ドヤ顔”で、ずかずかとベンチに向かって歩を進めていく。見事な牽制球、好守備、そして満面の笑顔。いろんな意味で忘れられない登板となった。交流戦18試合を14勝4敗で戦い抜いたホークス。小久保裕紀監督も投手陣の安定感を要因に挙げ「投打のバランスというか、噛み合わせが良くなっているからだと思うので」と語っていた。その投手陣で、ブルペンを支えた1人が、上茶谷大河投手だ。

 かつての本拠地で登板したのが、横浜スタジアムで行われた7日のDeNA戦。同点の延長10回にマウンドに上がると、1回無失点に抑えてバトンをつないだ。1死一塁では素早い牽制球で走者をアウトに。「ランナーが三森選手だったので、絶対に走ってくるとは思っていましたね。ドンピシャのところにいきましたけど、あれはたまたまです」。自らが持つ技術を最大限に活かして、ピンチの芽を摘んだ。

 蛯名を投直に仕留めて、役割を終えた。痛烈なライナーを素早く処理してみせると、右腕はドヤ顔でベンチへ。最後は破顔して、ナインと喜びを分かち合った。周東佑京外野手からは「かみちゃ、ナイス!」、柳田悠岐外野手からは「お前ファンフェスちゃうで!」と声をかけられていた。感情を爆発させたこのシーン。上茶谷にとって、何が嬉しかったのか。

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この先で分かる3つのこと

横浜での登板で上茶谷大河がドヤ顔したわけ
移籍2年目で口にした横浜ファンへの思い
元同僚との再会が「めっちゃ嬉しかった」

映像で確認したら「むちゃくちゃドヤ顔で」

「ほんまは、ベンチまで真顔で帰ってやろうと思っていたんですよね。でも、ライナーを捕って嬉しかったんでしょうね。喜びが顔に溢れすぎていました」

 何事もなかったかのように、澄ました顔を貫こうと思っていた。「でも映像を見たらむちゃくちゃドヤ顔で、すんごい鼻の穴が開いていましたね。恥ずかしい」。照れとともに表情はどんどん緩んでいく。「あのドヤ顔で、ベンチもみんな僕がふざけていると思ったんでしょうね。(両手で指を刺してくるポーズを)コーチの方々もされていましたし、先輩方も『うおーい!』という感じだったので、よかったです」。右腕の“劇場”を、チームメートも楽しみながら眺めていたのは確かだ。

 2024年オフに行われた現役ドラフトでDeNAからホークスに移籍。横浜スタジアムは、6年間プレーした場所だ。右腕の名前がコールされると、両チームから歓声が起きていた。「僕に関しては、もう忘れられていると思っていたので。びっくりしましたね」という。「同点の延長10回。展開が展開だったので、楽しむだなんて悠長なことは言っていられなかったです」と感傷に浸る余裕はなかった。

 試合中は目の前のプレーに必死だったが、少し時間がたったからこそ冷静に振り返ることができる。雨中のスタンドを見て、声を枯らすファンから熱い気持ちを受け取っていた。

「あれだけの雨が降っていて、ホークスファンも残っていましたけど、ベイスターズファンもめっちゃいた。やっぱり熱いなと思いましたし、ヤス(山崎康晃)さんが出てきた時のスタンドの一体感は何回見ても鳥肌が立ちます。敵として初めて戦いましたけど、応援や雰囲気が重圧になって襲いかかってくるみたいでした。味方でやっていた時は心強かったんですけど、改めてベイスターズのファンもすごいなと思いましたね」

ナインと喜ぶ上茶谷大河【写真:井上学】
ナインと喜ぶ上茶谷大河【写真:井上学】

思い出は1年目のプロ初完封「次やってやろうぜ」

 DeNA時代は通算20勝。横浜スタジアムでの思い出は、プロ初完封だ。2019年6月1日のヤクルト戦で、相手打線を封じた。バッテリーを組んだ伊藤光捕手と、“有言実行”の完封だったからこそ深く記憶に刻まれている。

「その前回登板で8回までゼロで抑えていたんですけど、9回に5点くらい取られたんですよね。結果的には勝てたんですけど、完封を逃した。そしたらキャッチャーの(伊藤)光さんが『大丈夫大丈夫。もう1回やればいいんよ。次やってやろうぜ』と。その次に本当に達成できたので嬉しかったですね。(山本)祐大とはマダックスもやりましたし、戸柱さんとも甲子園で完封しましたけど、やっぱり1発目は印象に残っています」

 ホークスのユニホームを着て、初めて訪れた横浜スタジアム。ビジターチームの練習時間となり、グラウンドに足を踏み入れると、かつての仲間たちが待っていた。「僕に会いにきたわけではないかもしれないですけどね! ヤスさんと宮崎さんが、ベンチ裏から出てきてくれたので、それはめっちゃ嬉しかったです」。山崎は名球会入りの基準である通算250セーブに近づいており「あともうちょっとですね、みたいな話はしました」と、旧交を温めた。上茶谷にとっても、決意を新たにした瞬間だった。

 6月4日の中日戦(バンテリンドームナゴヤ)では延長11回に登板し、プロ初セーブを挙げた。「ベイスターズとの試合もあって、確かに濃い週でしたね。それもやっぱり展開なんですよ。精神的疲労です」。感情を真顔で隠すより、チームメートと喜ぶ上茶谷の笑顔が見たい。ファンもきっと、そう思っているはずだ。

(竹村岳 / Gaku Takemura)