柳町達が企画「みんなで行こう」 2軍野手全員参加の“柳町会”…貴重な裏側「達さん飲まされていました」

  • 記者:飯田航平
    2026.06.14
  • 1軍
チームメートと談笑する柳町達(中央)【写真:竹村岳】
チームメートと談笑する柳町達(中央)【写真:竹村岳】

笑顔で明かした「やってよかったです」

 ファームで懸命に汗を流した1か月。身を削るような日々の中で、“誰もが証言する”温かな時間があった。「色々と考えながらやっていましたし、早く1軍に上がりたいなと思っていましたね」。5月12日に登録抹消され、6月10日に再昇格した柳町達外野手は、その期間を振り返る。12日のヤクルト戦(みずほPayPayドーム)では復帰後初安打をマーク。13日の同戦は代打で出場し、貴重な適時打を放った。昨季、最高出塁率のタイトルを獲得した男が苦難を乗り越えて1軍の舞台に戻ってきた。

 決して短くはなかった降格期間。若手とともに泥にまみれた29歳は、時にリーダーシップを発揮し、2軍の空気をガラリと変えていた。柳町とともに2軍で過ごし、ひと足先に1軍昇格した廣瀬隆太内野手が明かしたのは、あるエピソードだった。「野手全員が参加した“柳町会”があったんです。15人くらいですかね」。5月下旬、由宇への遠征中に背番号32が発起人となって開催された「食事会」。柳町はいったい何を思い、この会を開いたのか――。

「やってよかったです!」と満面の笑顔で語る柳町。その舞台裏には、普段はクールな男が後輩たちに見せた“素顔”と、温かな空気があった。

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この先で分かる3つのこと

突如始まった食事会、柳町がかけた最初の言葉
後輩の秋広に煽られた柳町が見せた、意外な姿
柳町が語った最年長・嶺井への「気遣い」

「(開催意図は)別にないです(笑)。『とりあえずみんなで行こう』ってなっただけです」。柳町が照れくさそうに振り返った“特別な夜”は、唐突に始まった。2軍は今季から宿舎で投手と野手に分かれてミーティングを行い、試合へ向かう。そのミーティング後に柳町が切り出した。「今日、野手でご飯に行こうか」。その場にいた渡邉陸捕手は「みんなも『行きましょう、行きましょう』という感じでした」と証言する。“柳町会”はこうして開かれることになった。

 店は秋広優人内野手が予約した。貸切で3つのテーブルを合わせて、全員の顔が見える距離で焼肉を楽しんだ。「お疲れ様でしたー!」という乾杯の挨拶とともに始まったその席での主役の姿は、周囲の目にも新鮮に映った。

ざっくばらんな空気が開いた若手選手の心

「達さん、めっちゃ楽しそうにしていましたよ」と渡邉が語れば、高橋隆慶内野手も「和気あいあいという感じの雰囲気でした。野球の話とかはあまり出なかったですね。本当に楽しい時間でした。同じテーブルに秋広がいて、『達さん飲みましょうよ!』みたいな感じで。達さんは結構飲まされていましたね(笑)」とその場の様子を明かす。誰よりも、柳町がその空間を楽しんでいたという。

「やってよかったと思います! それこそ若手の選手とコミュニケーションが取りやすくなったなと。野球の話自体はそんなにしなかったんですけど。もう本当にプライベートの話とかを楽しくできたので、本当にやってよかったです」

 そう語る柳町の表情は柔らかい。「僕が言い出したんですけど、あとから嶺井(博希)さんも来ると聞いて。ちょっと気を使わせる形になっちゃったんですけど(笑)。嶺井さんに(会計の)半分は出してもらったので」。そう頭をかいたが、ざっくばらんな空気が若手選手たちの心を一気に開いた。

 宿舎周辺には食事ができる場所が少ないという事情を察し、「それならみんなで一緒に行こう」と動いた男の優しさ。未来を担う若手たちと屈託のない笑顔で過ごせた時間は、かけがえのないものだった。

 1軍の舞台で、再び快音を響かせ始めた柳町のバット。その背景には、あの日同じテーブルを囲み、共に1軍へと這い上がってきた若手たちの姿がある。出遅れた分を取り返しながら、柳町がこれからもチームを牽引していく。

(飯田航平 / Kohei Iida)