登録抹消の中村晃が独占激白 周囲に漏らしていた“本音”…36歳が語った「狭くなる立場」

  • 記者:竹村岳
    2026.06.09
  • 1軍
9日に登録抹消となった中村晃【写真:栗木一考】
9日に登録抹消となった中村晃【写真:栗木一考】

9日に今季初の登録抹消…公示から35分後に語った思い

 ソフトバンクの中村晃内野手が9日、出場選手登録を抹消された。再調整となったのは今季初。開幕から1軍の舞台で戦ってきたが、チームが58試合を消化した段階で首脳陣は一つの決断を下した。

 プロ19年目の今シーズンはスタメン起用は3度にとどまり、代打が主戦場だった。23試合に出場して打率.129、0本塁打、2打点。直近で安打を放ったのは、右翼線への二塁打を放った5月16日の楽天戦(みずほPayPayドーム)。そこから1か月近くも快音から遠ざかっていた。

 登録抹消となったこの日、試合前練習に参加した36歳。守備練習やフリー打撃を行うなど、通常のルーティンで汗を流した。公示が発表されたのが午後4時。そのわずか35分後に帰路に就いた中村晃は、鷹フルの単独取材に対して胸中を口にした。

会員になると続きをご覧いただけます

この先で分かる3つのこと

公示からわずか35分後…単独取材に語った思い
貫きたかった矜持、周囲に漏らした本音とは
2年前とは違う…さまざまな声を受け止めた胸中

「年を重ねるごとに立場も狭くはなると思う」

「やることを、もう1度しっかりやる。それだけですね。年を重ねることに立場も狭くはなると思うし、結果を出すことも難しくなっていくので。それに応えられなかった。またリフレッシュして、しっかりやっていくということですね」

 中村晃は現実を受け止め、目線を上げながらハッキリと答えた。昨年11月には腰の手術を受け、4か月半のリハビリ生活を送ったが「そこは関係ないですね」と首を横に振る。「シンプルに、実力で成績が出せなかったので。再調整するという感じです」と語った。

 今年4月28日のオリックス戦(京セラドーム)。8回に代打で登場した背番号7は、椋木のフォークを左前に運ぶ決勝打を放ち、チームに勝利をもたらした。試合前の時点で15打数1安打、打率.067。“一振り稼業”の難しさに直面しながらも、口にしたのは「正直、数字はあまり見ていないですね」――。それは、中村晃が打撃投手をはじめ、サポートしてくれる周囲の人間に対して日頃から漏らしていた「本音」でもあった。

 代打というポジションについて、小久保裕紀監督も「もちろん、めちゃくちゃ難しいこと」と語っていた。緊張感の増す終盤の展開で、一本の安打を生み出すのは並大抵のことではない。打席に立てば自分の成績はビジョンに映し出されるが、それをあえて「見なかった」。その行動は絶対に気持ちを切らさず、“やるべきこと”に集中するための決意だった。

「数字は大事ですし、もちろん残った方がいいんですけどね。(その上で)『どこで打つか』が大事だと思ってやってきました。同点、逆転がかかった場面ではもちろん打ちたいですし、そういうところでいかに打つか。それもありましたし、打席に立つ以上は責任がありますから」

2年前は思い悩んだ厳しい声…今は「気にしていない」

 昨シーズンは代打で13打数4安打、打率.308と結果を残した。打席に立つまでの準備は「変えていないですよ」という。試合終盤での出番に備え、5回が終わったらもう1度体を温める。正面からのティー打撃を繰り返し、相手投手のボールをイメージしてきた。「これがいいんだろうなという形を続けて、結果を出せなかった」。自らの成績と向き合ったうえで、中村晃は目線を上げて、こう続けた。

「でも、準備の仕方を変えるつもりはないので。単純に、打席の感覚とかをもう1度上げて、大事なところで勝負できたらいいかなと思います」

 2024年に山川穂高内野手が加入したことで、代打が主戦場となった。打率.221と苦しみながら過ごした同年のシーズン。ファンの厳しい声は本人も理解していた。「代打で出て行った時にもらえる大歓声が、本物だと僕は信じています」。批判が耳に届いているのは、今も同じ。そのうえで「気にしていないですよ」と口にし、本心を明かした。

「2年前はいろいろと気にしていましたし、あの時に比べたら今は全然。ネットやSNSを見たりもしますけど、応援してくれる人のために頑張りたいなと思います。なので、シンプルに野球を頑張るだけ。僕は大丈夫です」

 10日からはタマスタ筑後で調整を行う予定だ。36歳で迎えた大きな壁。“応援してくれる人”のためだけに届けたい言葉は「また頑張ってきます」――。2年前のように、思い悩む自分はもうどこにもいない。期待に応えるため、そして自らの“矜持”を貫くために、中村晃はまた準備をする。

(竹村岳 / Gaku Takemura)