増えてきた正木智也の一塁起用…守備面に対する首脳陣の評価は? 新オプションの確かな“裏付け”

  • 記者:竹村岳
    2026.05.24
  • 1軍
日本ハム戦で併殺を完成させた正木智也【写真:栗木一考】
日本ハム戦で併殺を完成させた正木智也【写真:栗木一考】

日本ハム戦でも強烈な打球を止めて併殺を完成

 1軍に戻ってきた26歳の存在が、ホークスの追い風となっている。相手に流れを渡さない“隠れたファインプレー”を見せたのが正木智也外野手だった。チームを加速させ始めた新たなオプション。正木の一塁守備を、首脳陣はどのように評価しているのか。

 5年目の今季は開幕前に右足の蜂窩(ほうか)織炎と診断され、手術を受けた。1軍昇格を果たしたのは5月15日。大幅に出遅れてしまったが、打率.393とハイレベルな打棒を見せつけている。7試合連続でスタメン出場している中で、うち4試合は一塁を守っている。

 23日に行われた日本ハム戦(みずほPayPayドーム)。6回1死一塁で清宮が放った痛烈な当たりが正木を襲ったが、体を張って打球を止めると、一塁を踏んで二塁に転送。併殺を完成させ、ピンチを防いでみせた。

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この先で分かる3つのこと

正木の一塁守備に対する評価は?本多コーチを直撃
打率.393とスタメン定着を狙う正木智也の現在地
ベンチに戻って上茶谷大河から伝えられた言葉

「絶対に後ろに抜けせないぐらいの気持ち」

「あのプレーでもそうですけど、もうバッターとの距離が本当に近いので。とにかく捕るのもそうですけど、何でも止めるぐらいの気持ちで。絶対に後ろに抜かせないくらいの気持ちでやっています」

 昨シーズンまでの4年間で、一塁を守ったのはわずか9試合のみ。2025年シーズンは左肩手術の影響で17試合の出場に終わり、一塁守備には精力的に取り組んできた。「どのポジションもハードルは高いですけど、出られるなら獲りに行きたい」。自主トレ期間中の1月には廣瀬隆太内野手とともに基礎的な練習を繰り返した。その成果が今、1軍の舞台で少しずつ実を結んでいる。

 サインプレーも絡み、ボールに触れる機会も多い一塁というポジション。本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチは「大学時代にやっていますからね」と前置きした上で、背番号31の持ち味を具体的に語った。

「球に対して怖がらずに行けるんですよね。技術というよりも、その気持ちですね。一生懸命に、いい意味でガツガツと行ってくれるので。そこはすごくいいところだと思っています。今日のゲッツーも逃げてしまうと(ミットの)下を抜けてしまう。怖いんですけど、グラブをちゃんと下に残していたからできたプレーだったと思います」

清宮が放った強烈な打球を止める正木智也【写真:栗木一考」
清宮が放った強烈な打球を止める正木智也【写真:栗木一考」

本多雄一コーチも評価する持ち味「怖がらない」

 時速180キロを超える打球が飛んでくることもあるプロの世界。怖さは誰しもが抱くものだが、そこに立ち向かっていけるのが正木の強みだ。「二遊間だと動きの中で打球を捕りますけど、ファーストは足が固まってしまう。彼が普段守っている外野では、牽制に対する素早いタッチ動作とかもないんですけど、試合では彼なりにバシっとやってくれるので。一生懸命さと素直さがありますよね」と本多コーチは続けた。

 ゲッツーを完成させた23日の日本ハム戦、マウンドにいたのは2番手の上茶谷大河投手だった。清宮との対戦を迎えた右腕は、投球前には牽制球に備えて、正木がベースに付いていることはしっかりと確認していた。「ピッチャーの感覚だと、どこに飛んだのか正確にはわからないんですけど、投げた感じだと一、二塁間を抜けたかなと思いました。いい当たりではあったので、ヒットだとは思いましたね」と振り返る。

 甲高い打球音が響き、すぐさま振り向いた。「見たらもうベースを踏んで、二塁に投げるところだったので。『わぁお』と思いました」。まさに一瞬だった併殺劇。ベンチに戻ると大声で「正木!」と呼びかけ「ありがとう!」と感謝の言葉を伝えた。一戦一戦アピールを続ける背番号64にとっても、救われるビッグプレーになったはずだ。

「プロに入ってからはあまりファーストはやってこなかったんですけど、必死にやるだけかなと思っています。その結果、いい守備ができました。このヒーローインタビューも本当に久々なので、またここに戻って来られるように頑張っていきたいです」。お立ち台で正木は力強く誓った。今度こそレギュラーを奪い取るために。恐怖心を乗り越えていくのは、26歳の熱い決意だ。

(竹村岳 / Gaku Takemura)