初めて明かした左腕との未来
「忘れられない夜」に決意を新たにしたメッセージが届いた。13日の西武戦(みずほPayPayドーム)。支配下契約を勝ち取り、1軍の真っさらなマウンドに立ったのが藤原大翔投手だ。結果は4回2失点で降板。ほろ苦いデビューとはなったが、結果以上に今後の手応えを掴んだ“初登板”だった。
「(1軍で)投げられたっていうのが一番良かったところです。だけど、力みもあって2軍で投げられていたような変化球が決まらなかったり、というのはあったんですけど。入団したときから磨いてきた真っすぐでどんどん押していけたという部分では、自分の良さを出せたので良かったと思います」
プロ初登板を終えたその日の夜、右腕が真っ先に行ったのは、悔しさを押し殺して画面に向き合うことだった。1軍の壁を体感し、何度も見返した映像。そんな中、湧き上がってきたのは次回登板への決意だった。そして、胸に秘めた“左腕”への熱い思いも明かした。
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この先で分かる3つのこと
映像を何度も見返して猛省した、変化球の「悪い癖」
初登板の夜に両親から届いた、右腕の目を緩ませた言葉
同学年の左腕・前田悠伍に対して密かに抱く「熱い夢」
「眠れはしたんですけど、まずは映像見返して、どこが悪かったのかをずっと確認していました。真っすぐは悪くなかったので、変化球を見返して。悪いときはいつも一緒で、力んで上体が突っ込んで、手で操作していた。この前もそうだったんですけど、そこは練習から意識はしています」
初登板で疲れ切っていたが、時間をかけて自身の投球を見つめ直した。だが、見つかったのは課題だけではなく、1軍でも“通用”するという手応えだ。確信に変わったのは、入団時からとことん磨き上げてきたストレートへの手応えだ。
「真っすぐで三振も取れましたし、2回ぐらいまではファウルもあって、捉えられていなかったので、そこは2軍で通用していたボールだった。後半は少しバテちゃったんですけど、1軍でも少しは通用するんじゃないかなと思いました」
家族からのメッセージと刺激になる同学年の好投
張り詰めた緊張が解けたとき、スマートフォンの画面に表示されたのは、誰よりも自らの背中を見守り続けてくれた両親からのメッセージだった。「『感動した』って連絡が来ました。こんな場所に立てるのを想像していなかったらしいので」。淡々と語る藤原の目元が、少しだけ柔らかくなった。これまで歩んできた道のりに自信を持ち、次回登板への気持ちが新たになった瞬間だった。だからこそ、ソワソワ感は次のマウンドには持ち込まない。
「2回目なので、1回目よりかは分かっていることもある。次は落ち着いていけるんじゃないかなと思います」と、力強く前を向く。そんな藤原には、同じ時代を生きる“特別な存在”がいる。17日の楽天戦(楽天モバイル最強パーク)、5回1失点の好投で今季2勝目を挙げた前田悠伍投手だ。
3年目にして同じ舞台に立つ中で、譲れないプライドがあるのも本音だ。「抑えていたら、僕も『負けていられないな』と思います。刺激は受けています」。左腕が好投すれば、自分の闘志にも火がつく。だが、それ以上に胸の奥で密かに抱く熱い思いもある。
「僕が勝手に思ってるんですけど……。『一緒にローテを回っていけたらいいな』って。悠伍がどう思っているのか、わからないですけど」
少し照れくさそうに語りながらも、真っすぐな口調には今後の期待が大きく膨らむ。開幕ローテにはいなかった20歳の両腕が先発投手陣を支えようとしている。20日に控える2度目の先発マウンド。積み上げてきたものの全てを出し切り、白星を掴みに行く。
(飯田航平 / Kohei Iida)