2軍で打率.667…柳町達が激白した胸中とは
打率.667という異次元の成績には、“一流選手”たるゆえんがたっぷりと詰まっている。斉藤和巳2軍監督には柳町達外野手の姿はどう見えているのか――。その問いかけに、指揮官は「別格」と即答した。「思い詰めていた」というヒットマンの苦悩、そして見つめ直した自分自身の打撃――。2軍降格から1週間、背番号32が胸中を激白した。
19日に行われたファーム・リーグの阪神戦(タマスタ筑後)。「3番・指名打者」で出場すると、まさに格の違いを見せつけた。初回、2回といずれもライナー性の打球で、ミスショットすることなく中前へ運んで見せた。4回の第3打席は四球を選び、6回には左翼線に二塁打を放った。5打席目は二ゴロ併殺に倒れたが、ここまで4試合で計15打数10安打の打率.667。「たまたまですよ」と謙遜するが、2軍においては他を寄せ付けない存在感を示している。
今季は開幕スタメンに名を連ねたが、1軍では31試合に出場して打率.208、0本塁打、13打点。5月12日に登録を抹消されて再調整となったが、別次元の打撃内容を見せつけている。指揮官が「別格」と絶賛したのは“ベンチでの姿”――。2軍降格から7日が過ぎ、本人が今の心境を静かに語った。
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この先で分かる3つのこと
柳町達が筑後で掴もうとしている新しい感覚
斉藤和巳2軍監督が“別格”と絶賛するベンチの姿
どんな時も「技術を磨く」背番号32の揺るぎない強さ
「僕自身も思い詰め過ぎていた部分があったのかなと」
「1軍は結果を出さなきゃいけない場所なので、僕自身も思い詰め過ぎていた部分があったのかなとは思います。試合に出る以上は責任があるので、そういう思いが強過ぎたのかなと」
再調整となり、打撃面のテーマを見つめ直した。「最初は迷いながらやっていたんですけど、バットが体に巻きつくような……。しっくりきているものがありますね」。改めて心がけているのはタイミングだ。「1軍だろうと2軍だろうと、これからの引き出しとして何かをつかみたいと思ってやっているので。何か新しいものが見つかればと思っています」と繰り返した。
入団から常に厚い戦力層に阻まれ、ファームでチャンスを待つ“日常”が続いた。そんな厳しい日々を何度も経験し、昨年にはようやく打棒が開眼した。自身初タイトルとなる最高出塁率を獲得。今回の再調整も「自分の思い通りにいかないことが続いていたので。試合に出ながらもしっくりこないですし、その中でも結果を出さなきゃいけなかったので」と真っすぐに受け止めている。どんな時もフォーカスしているのは「技術を磨く」こと。だから、柳町の目線は絶対に下がらない。
「1軍では、去年まで捌けていたコースの打率が悪かったので。長谷川(勇也打撃コーチ兼スキル)コーチとも話をして、こっちに来た。きょうも高めの球を打てましたし、(16日の)オリックス戦では岩嵜さんの速い球にも振り負けずにライトに打てたので。スムーズにというか、やろうとしていることはできているのかなと思います」
斉藤和巳2軍監督も絶賛「コーチ陣もみんな思っている」
斉藤監督が絶賛したのは、柳町のベンチでの姿だ。座り込んでいるのではなく、最前に立ってナインに声援を送る。ピンチをしのげばナインを一番に出迎えて、ハイタッチを交わす。しっかりと試合に入り込んでいる背番号32が、より目立って見える。
「技術的なところはもともとあるけど、試合中よね。ベンチでの声の出し方、声の質がいい。ふざけたようなことは言わないし、チームを鼓舞する、状況を打破するような前向きな言葉を出している。1軍に上がるため、自分のことだけを考えてくれていいんだけど、上にいる時と全く変わらない姿でプレーしている。当たり前のことかもしれないけど、非常に意識を高く持っているし、数字が残っているのも当然なのかなと思えるよね」
プレーボールからゲームセットまで、グラウンド上の戦況を見守る斉藤監督。それだけではなく、ベンチで選手たちがどんな姿でいるのか、目を凝らしている。「そこは意識して見ているつもりよ。“我関せず”のやつもおるし、そういう選手が大成したところは見たことがない」。3軍、4軍でも指揮官を務め、数多くの若鷹とともにプレーをしてきた。だからこそ、柳町の姿にどれほどの価値があるのか、より深く理解している。
「(柳町とは)練習前に少し『どんな感覚や?』と話はした。変化があるんかなと思ったら『落ちてきた時よりも感覚がいい』とは言っていたね。2軍に来たからといって変わらないという意味では、そこは嶺井(博希)と一緒よね。長くやっているだけあるなと思うし、そういうところがちゃんと姿に表れている。コーチ陣もみんなそう思っていると思うよ。そういう話にもなるからさ」
午後6時から始まったこの日の2軍戦。試合が終わった後、柳町は城所龍磨外野守備走塁コーチに「いつも1軍でやっていることなので、お願いします」と頼み込み、ティー打撃を繰り返していた。どんな時も絶対に変わらない。そんな強さが、背番号32にはある。
(竹村岳 / Gaku Takemura)