5月10日のロッテ戦で3人がヒーローインタビュー
2026年シーズンの開幕からまもなく2か月。5月10日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)では前田悠伍投手が今季初勝利を挙げ、庄子雄大内野手はプロ初の3安打をマーク。周東佑京外野手は2安打2打点に加え、華麗なホームスチールを決める活躍を見せ、3人がヒーローインタビューに選ばれました。その舞台裏を、西田哲朗広報が明かします。お立ち台の「人選」の背景には、意外にも多くの“お伺い”が存在するといいます。お立ち台に上がる直前、チームリーダーの背番号23が口にしていた「涙するかも」――。
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鷹フル読者の皆さん、こんにちは。年に一度の「母の日」の一戦。投打が噛み合い、勝利を掴むことができました。さまざまな要素も重なって3人をお立ち台に上げましたが、ファンの方々はヒーローインタビューの“裏側”をどれくらいご存じでしょうか? 試合が進み、勝利が近づいてくる中で、実はまず王貞治球団会長にお伺いを立てるんです。
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この先で分かる3つのこと
ヒーロー選定の裏側。王会長から始まる“お伺い”のルート
「大トリ周東」のサプライズ。広報が仕掛けた演出の妙
試合終了直後、周東佑京が漏らしていた本音とは
「この選手でいこうと思います」と。ダメだと言われることなんてないんですけど、僕の中でもしっかりと理由を持って説明しますね。逆転、勝ち越し、初勝利、好リリーフ……。要素はたくさんある中で、チームには前後の流れがあるので。そこも重要視します。その次に三笠(杉彦)GMをはじめとしたフロント陣、試合が終わった直後に小久保(裕紀)監督にも報告して、そこから初めて選手に打診するという形です。何気ない人選と思われているかもしれませんが、ヒーローインタビューは広報目線で言っても「最高の露出」なので。毎試合、僕たちの中でもしっかりと“ものさし”を持って選んでいます。
広報から選手に伝える時も、しっかりとした理由がなければ「何を話したらいいの?」となるので。僕たちもインタビュアーや中継局の方々とコミュニケーションを取りながら、ある程度「こういうことを聞かれると思うから、こういうふうに話そうか」と事前に打ち合わせもしますね。お立ち台が終わった後の記念撮影も、ポーズ1つにしてもこだわります。シンプルに見える時も、そこにはしっかりと理由を設定しているつもりですね。
あの日はテレビ中継でも「母の日のエピソード」が入っていて、いい映像が流せたのではないかと思っています。思い出や、母の好きな手料理などをテロップにして映したんですけど、あれも年に一度なので。テレビ局の方々が一生懸命取材をしてくれたり、僕たち広報から選手たちにも聞いたりして。少しでもテレビ中継が良いものになるように努力しました。柳田(悠岐)さんが「ハンバーグ」だと答えてくれましたが、僕も知らなかったことなので。選手に話を聞いても楽しかったですよ。それもまたエンターテイメント。ファンの方々がいい反応をしてくれてよかったです。
西田広報なりにファンの方々に用意したサプライズ
話を5月10日のヒーローインタビューに戻します。前田悠伍が初勝利なので、そこは決まり。勝ち越し打は栗原(陵矢)だったんですけど、周東を絶対に入れたかったんです。タイムリーはもちろん、あれだけのホームスチールを決めてみせたので。ファンの人も一番見たかっただろうし、ヒーローとしてフィーチャーするべきだなと思いました。栗原と周東で前田悠を挟むよりは、もう1人若鷹を入れたいなと。そう思っていたところで、8回に庄子が3安打目を放ったので、ピンと来ましたね。「この3人でいこう!」と思いました。
登場の仕方、ヒーローインタビューの順番にも工夫を加えたつもりです。まずは庄子、前田悠がベンチから飛び出して、最後の最後に周東に行ってもらった。ファンの方々も「あ、きょうは2人なんかな」と思っていたところに、周東が出てきてくれたら嬉しいじゃないですか。
サプライズで少しでも球場が盛り上がるように「ちょっと、ギリギリまで裏で隠れておいて」と頼みました。実際に大歓声に包まれたのを見て、ベンチ裏で「よしよし、大成功だ」と思いましたね。選手にとっても、スタンドからの大きな声援は嬉しいものなので。周東が3番目にインタビューを受けたのも、彼が「スター」だから。自信を持って“大トリ”を務めてもらいました。
周東が3回に適時三塁打を放ち、広報コメントでも「きょうは母の日で、『お母さんお願いします打たせてください』と力をもらいました」と配信しました。僕の方から「きょうは母の日やけど」と話を振ると、しっかりと答えてくれたんです。試合後に、改めてヒーローインタビューを打診した時のことです。「お母さんのことを聞いていいか」と聞くと「全然良いですよ。でも、涙するかも」と言っていました。冗談だったとは思うんですけどね。お立ち台の姿には僕も驚きました。山川(穂高)も「母ちゃんの誕生日」と言っていましたが、本当に選手たちはお母さんのことを考えてプレーしていたんだな、と。感謝を胸に戦った試合だったんですね。
庄子、前田悠の受け答えは若鷹とは思えないくらいしっかりとしていますよね。もしかしたらご家族もスタンドにいたかもしれないし、庄子なんかは「いつもありがとう!」とハッキリと口にしてくれて、特別なヒーローインタビューになったと思います。テレビ中継からお立ち台まで、より良いものにすることで、少しでも「ホークスっていいな」と。そしてそれが「野球っていいな」と思ってもらえたら嬉しいですね。ファンの方々に喜んでもらう、楽しんでもらうことが僕たち広報の仕事なので。かけがえのない瞬間を届けられるよう、チーム一丸となって頑張っていきます。
(竹村岳 / Gaku Takemura)