大量8失点の直後…大関友久がベンチで貫いた姿 激白した”あの時”の感情と降格への本音

  • 記者:福谷佑介
    2026.05.07
  • 1軍
8失点も5回まで投げ抜いた大関友久【写真:加治屋友輝】
8失点も5回まで投げ抜いた大関友久【写真:加治屋友輝】

8失点炎上に「チームへの申し訳なさと、ファンの皆さんへの申し訳なさは強い」

 悪夢のような時間だった。6日にベルーナドームで行われた西武戦。ソフトバンクの先発マウンドに上がった大関友久投手が、2回につかまった。このイニングだけで9安打を集中されて大量8失点。四球を挟んで9連続安打と、西武打線の猛打を止められなかった。

「ああいう形になってしまった、2回であれだけ点差を離されてしまったというチームへの申し訳なさと、ファンの皆さんへの申し訳なさは強いです」

 試合後、大関は真っすぐに視線を向け、毅然と報道陣の取材に応じた。大量失点の悔しさ、自身の力の無さ、チームとファンへの申し訳なさ……。その全てを真正面から受け止め、次につなげようとする意志がそこには見えた。

 初回は無難な立ち上がりだった。最速で146キロをマークした直球で押し、無失点に抑えた。初回に投じた10球のうち9球がストレート。ただ、この“強気”が2回は裏目に出た。

 先頭打者の岸は左飛に斬ったが、ここから平沢、古賀悠、石井、滝澤と4連続長短打。カナリオへの四球を挟んで、西川に左前適時打を浴びると、渡部には左翼席へ運ばれる4号グランドスラムを被弾。この段階でソフトバンクベンチはリリーフの準備を止めた。さらに連打で1死一、二塁とされたが、古賀悠を三ゴロ併殺に打ち取ってイニングに終止符を打ったが、この回だけで実に8点を失った。

 一体、大関の投球に何が起こっていたのか。

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この先で分かる3つのこと

大量失点を招いた、大関が悔やむ「判断の遅れ」
8失点直後、大関がベンチで見せた異質な姿とは
落ち込む感情を抑え、力不足と向き合う大関の覚悟

「自分自身がストレートにこだわりすぎてしまった部分もあった。もう一回ちゃんと整理しないといけないですけど、結果的にそれはちょっと感じました」

大関友久(右)と渡邉陸【写真:加治屋友輝】
大関友久(右)と渡邉陸【写真:加治屋友輝】

8失点も5回まで投げ抜いた大関友久【写真:加治屋友輝】

 試合後、左腕は淡々とそう振り返った。出力もしっかりと出ており、抑え込めていた。バッテリーとしても、ストレートで押し切れるところまで押し切るというプランを描いていた。
「(ストレートに)対応された時にはこうしようみたいなことも考えてはいたんですけど、結果的にああやって早い段階で捉えられ始めたところでパッと切り替えられなかった。自分の判断というか、そこはちょっと悔しい結果になったなと思います」
 ここ最近、自身のテーマとして掲げてきた出力の向上。それが出ていただけに、変化のタイミングを見誤った――。わずかな遅れが致命傷となった。

 試合の行方を決してしまった大量失点。気落ちし、ベンチでうなだれておかしくない投球内容。ただ、ベンチへ戻った大関が見せた姿は、それとは全く異質な、印象深いものだった。

 スコアボードに8点が刻まれた直後、大関はベンチに腰を据えると、肩を落とすことも、下を向くこともしなかった。真っすぐに顔を上げ、すぐにバッテリーを組んだ渡邉陸捕手と言葉を交わし始めた。このイニングでの反省点、修正点、お互いが感じたこと――。マウンドで起きた“全て”をすぐに共有し、次の回に向けた準備に入ったのだった。

 どんな胸中だったのか。

5回まで続投「ヒントになるものは得られたと思う」

「試合は続いているので、あれだけ打たれて点を取られて、もちろん落ち込む部分もありました。でも、まずは目の前のこと、という気持ちはできる限り持ち続けようと思っていました」

 あれだけの失点を喫した直後とは思えぬ姿だった。悔しくないわけがない。落ち込んでいないわけでもない。ただ、そうした感情を抑え込み、いま投手としてやるべきことに向き合おうとする。大関がプロ野球選手として抱く信念が、そこに宿っていた。

 その後、倉野信次投手コーチ(チーフ)兼へッドコーディネーター(投手)に続投を告げられ、3回もマウンドに上がった。「取られてしまったものは仕方ないので、またゼロからのつもりで、目の前の1イニング、1イニングに集中しようと、自分の中で考え直しました」。取られた点は返ってこない。先発として、他のリリーフにできるだけ負担をかけないよう、1球でも多く投げられるように、と腕を振った。

「(3回以降は、手応えを)掴むまではいかないですけど、こうした方がいいのかなとか、次の自分の方向性とか、そういうヒントになるものは得られたとは思います」。結局、3回以降は得点を与えることなく、5回まで投げ切った。12被安打8失点。試合後に2軍での再調整が決まった。

「こういう形になってしまって申し訳ないですけど、いいタイミングだと思って、自分の中でまた新しい自分を作れるように、そしてまた戻ってこられるようにしたい。今は力不足というのをしっかり受け入れて、力をつけてまた戻ってこられるように頑張りたいなと思います」

 大炎上の中でも折れることのなかった気持ちは、きっと大関の原動力になる。ベルーナドームの悪夢を糧に、再び1軍のマウンドへと這い上がってくるはずだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)