7回2死から四球で出塁…続く近藤健介が決勝2ラン
わずか6球の間に捨てた“欲”――。柳町達外野手がヒットマンたるゆえんを凝縮したかのような一打席だった。投手との勝負において、“勝利”を確信した瞬間。小久保裕紀監督も近藤健介外野手も絶賛する、値千金の四球だった。
9日に行われた西武戦は、両軍先発の好投が続いた。スコアが動くことなく、迎えた7回2死。1番に入った柳町が打席に立つと、四球を選んで出塁する。続く近藤が右中間席に4号2ランを叩き込み、勝負を決定づけた。指揮官も「2アウトランナーなしで、あの出塁が大きかったと思います。柳町が3ボール2ストライクからカーブを見逃してね」と、連敗を2で止めた2人の働きに賛辞を贈った。
決勝の4号2ランを放った近藤健介【動画:パーソル パ・リーグTV】
背番号32が相対したのは右腕のE・ラミレス。昨年は2打数無安打、通算でも3度目の対戦だった。1度もバットを振らずにフルカウントに持ち込むと、最後は低めのカーブを見極めた。ハーフスイングしかけながらも、必死に我慢した一球。柳町が“勝ち”を確信したのは、この時だ。
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続きの内容は
2ストライクとなって瞬時に切り替えた“思考回路”
2死から価値ある四球。ハーフスイングの刹那に宿った確信
近藤健介も絶賛。決勝弾を呼び込んだ「繋ぎ」の美学
勝負を分けた6球目…最後はハーフスイングも「あ、止まれた」
「あの打席は(フルカウントでも)打ちに行っていましたね。その中でも見送ることができたフォアボールだったと思います。最後のボールも、僕の中では結構『あ、止まれた』と思いました。あとは審判さんのジャッジなので」
捕手の小島も三塁審判にスイングをアピールしたが、判定はボール。柳町は「止まった」という確信とともに、自らの仕事を完遂した。「僕自身、深いカウントになっていくことが多いので。目の前の打席に集中することが大事かなと思います」。チームの勝利に直結した役割を、冷静に振り返った。
6回までわずか2安打。先制点を奪った7回も2死走者なしという状況で柳町に回ってきた。「最初は長打で得点圏に出たいなと思っていたんですけど、追い込まれてしまったので。そこからはなんとか後ろにつなごうと思っていました」。膠着した展開を打ち破り、一気にチャンスを作りたいという“欲”は、追い込まれた4球目に捨てた。わずか6球の攻防の中で、考えを切り替えられることが柳町の強みだ。
「こういう重苦しい展開になると、やっぱり長打しかないと思う。チャンスメークにも大きな当たりは必要ですし、試合を決めるのも長打だと思うので。そういう大事な“1本”につなげていくためにも、きょうは良かったと思います。コンさんはさすがです」
近藤健介も絶賛「活かせてよかったですね」
走者なしからこじ開けたチャンスを、近藤が見逃すはずがない。「きのう(8日)もそうでしたけど、ある程度一発が勝負を分けるとは思っていたので。狙っていたわけではなくて打ったのは反応だったんですけど、達がフォアボールで出てくれて、長打というのは意識していました」。現役選手では6位、通算868四球を積み上げてきた背番号3も、柳町の出塁を「活かせてよかったです」と感謝した。
周東佑京外野手の欠場により2試合連続で1番を託された。小久保監督は「1番というのは、長谷川(勇也)コーチの推薦です。選球眼を持って打席で対応できる選手ですから」と、舞台裏を明かす。首脳陣の期待に結果で応えてみせた。チャンスメーカーでもあり、時にはポイントゲッターにもなる背番号32。3連覇を目指すチームにとって、絶対に欠かせない存在だ。7年間のプロ生活で、通算1602打席。経験したすべてを活かして、28歳のヒットマンはホークスを勝利に導いていく。
(竹村岳 / Gaku Takemura)