小久保裕紀監督が絶賛した一振り…柳町達、3番起用の舞台裏 秘めていた“3つ目の案”

小久保裕紀監督【写真:栗木一考】
小久保裕紀監督【写真:栗木一考】

試合の前後で応じた取材…モイネロの今後は?

 ソフトバンクは29日、みずほPayPayドームで行われた日本ハム戦に8-4で勝利し、開幕カードで3連勝を飾った。先発したカーター・スチュワート・ジュニア投手が5回3失点で2年ぶりの白星。その後は上茶谷大河投手、松本裕樹投手とバトンをつないだ。

 打線は初回、柳町達外野手の適時二塁打で先制。1点を追う2回には川瀬晃内野手が中前適時打を放つなど、3点を奪い逆転に成功した。4回にも柳町、柳田悠岐外野手の連続適時打で2点を追加。計13安打8得点を記録した。

 この日、取材に応じた小久保裕紀監督の一問一答は以下の通り。近藤健介外野手を左翼に“コンバート”させた理由とは? スロー調整のリバン・モイネロ投手にも言及し、実戦登板には「程遠い」と話した。

会員になると続きをご覧いただけます

続きの内容は

柳町の3番起用は「3つ目の案」
モイネロ復帰は「程遠い」現状
指揮官が猛省した“開幕戦の隙”

●試合前

――日本ハムに移籍した有原航平投手との対戦。
「俺が対戦するわけじゃないけどね。きょうは左バッターを並べています。(開幕2戦とは)全然違うメンバーかなと。まあ、キャッチャーを谷川原(健太)でいくので。うちはもともと左バッターが多いし、そういう並びになったのもありますけど」

――この3日間、有原投手とは特にやり取りはない?
「していないですよ。他球団と(試合前に)交流するなって俺が監督会議で言い出したのに、俺がやるわけにはいかないでしょう」

――現役時代にも、かつてのチームメートと対戦するという経験はあったと思うが。
「現役時代は楽しかったよ。特別感もありましたしね。意外と選手同士って、知っているようで知らないんじゃないですか? 対戦するっていってもライブBPか紅白戦しかないですからね。知っているのは気心だけで、球は知らないですよね」

――あらためて有原投手の良さ。
「タフさでしょう。それが一番です。チームを預かる立場からすると、年間を通してローテーションを守れるだけの体力と技術があるというのは一番助かります」

――ホークスはスチュワート投手が先発する。
「球数で区切ろうかなとは思っています。去年1年間やっていないですし、最初ですからね。年間を通して離脱なく働いてもらうためにも、最初はイニングよりも球数で区切ろうかなとは思います」

「あとは、きょうから近藤をレフトに戻します。柳田が守る時はライトに回ってもらいますけど、それ以外は基本的にレフトで。やっぱりレフトよりもライトの方が負担も大きいので。そういう提案がコーチからありました」

――負担というのは。
「投げる距離ですよね。去年も(左)脇腹を痛めて、打てるけど投げられないというのがあったので。柳田のレフトも多いわけじゃないでしょうし、年間の負担を考えて。去年はそれ(負担が増えるの)が嫌で入れ替えたんですけど、なかなかいい提案ですね」

――柳田選手も首に痛みがある。
「首って1日でどうこうなるというよりも、そこに本来あってはならないものがある限り、付き合っていくしかないので。まあ健介も元気ですし、週に1回はDHで行こうかなと思うので」

――その時は柳田選手がベンチスタート?
「レフトも守らせるし、そうじゃない時もあると思います」

今季初スタメンで3安打の活躍を見せた川瀬晃【写真:栗木一考】
今季初スタメンで3安打の活躍を見せた川瀬晃【写真:栗木一考】

開幕戦で見せてしまった小久保監督の“欲”

――キャンプ中から、複数ポジションを守らせるなど、継続してきた準備があるから、幅を持たせて起用ができる。
「それも(野村)勇や川瀬(晃)の成長があるからできることですよ」

――開幕して3試合目。できるだけ早く選手を起用したい思いも。
「その気持ちは僕の中ではありますね。きのうも、イヒネ(・イツア)を使いたかったんですけどね。『次回ってきたら……』とか常に考えてしまうので。きのうまでの2試合は逆転したじゃないですか。展開的にも、どうしても勝ち切らないといけなかったので。川村(友斗)を使うのは悩まないんですけどね。イヒネは『うわー』ってなっていましたね。代走が必要な時もありますし、守備固めだけで置いているわけではないですから。山川が(28日の8回に)ホームランを打ったじゃないですか。あれも塁に出たら別の選手を用意していたんですけど。試合は生き物ですからね」

「きのう某スポーツ番組に映っていましたけど、(27日の開幕戦、9回2死で栗原が失策)ミスした時の俺の顔が出ていましたね。あの日は勝ちたい、勝たないといけないっていうのがあって、僕らしくなかったです。エラーとか、マイナス面では顔に出さない自信があったんですけどね。監督人生初。未熟です。打った瞬間にゲームセットだと思ってしまった。栗原に悪いですね」

――確かに見たことなかった。
「それは侍ジャパンで監督をする時に決めたんです。顔には出さないと誓って、それができていたんですけどね。あれは僕の隙であり、欲であり、未熟さです。そんなに入れ込んでいたんだなって」

――後に振り返った時、記憶に残る開幕カードになると話していたが。
「去年の3連敗をめちゃくちゃ覚えているんですよ。でもその前って覚えていないし、順調な時って記憶には残らない。今年はどっちに転んでも覚えているなと思いましたし、マイナスな顔を初めてしてしまったので。その時点で絶対に覚えていますね」

――開幕戦セレモニーの国歌斉唱で、監督はスクリーンを見つめていた。目を閉じる選手などもいるが、監督の中では国旗を見ると決めている?
「そうです。それは侍の監督をする時から自分の中の決め事ですね。きのうの試合前、チャンピオンリングの贈呈がありましたけど、つけて帰りました。選手時代のものもありますけど、また棚の上に勲章ができましたね」

――現役時代に掴んだ勲章は、同じところにまとめてある?
「そうそう。今回もそこに置きます」

――タイトルや日本一など、現役時代のものは振り返ったりする?
「全く振り返らないですね。ただ今回は指導者としてのものなので。指導者としてまた1つ(勲章が)増えたなと思いますけど」

――リバン・モイネロ投手が全体練習に合流している。
「投げるにはまだ程遠いです。野球人生が今年で終わるわけではないので。WBCも半分にもいっていない状態だったそうです。相当無理したんですね。国でも練習できなかったでしょうし」

――どのくらいの時期には復帰させたいなど、描いている目処は?
「全然。投げてからプランは立てていくので。野球ができる体に持っていかないと」

――キャンプインくらいの状態?
「キャンプに入った時ってそれなりに投げられるじゃないですか。これから自主トレって感じじゃないですかね」

2安打2打点の活躍を見せた柳町達【写真:栗木一考】
2安打2打点の活躍を見せた柳町達【写真:栗木一考】

有原航平を攻略…褒め称えた「8番ショート川瀬」

●試合後

――シーソーゲームという展開をどう見ていた?
「なかなか前半は落ち着かない試合だったんですけど。4回裏に得点した後、5回表にカーターが三者凡退で切り抜けて。あそこで少しゲームが落ち着いたかなという感じでしたね」

――有原投手に対して左打者を並べた。
「川瀬が初スタメンでね。『8番ショート川瀬』が、きょうは本当に機能したなという打線でしたね」

―― 先制点となった柳町選手のバッティングは?
「オープン戦は良くなかったんですけどね。開幕してからの打席内容、結果が去年の交流戦の時ぐらい。そのぐらいの落ち着きも出てきていますね。慣れない1番(打者)でなかなか結果が出なくて、開幕からは3番にしているんですけど。それも1つ良かったんじゃないかなと思いますね」

――流れを渡さなかった2番手の上茶谷投手に関しては。
「カーターがゲームを作ってくれたと言いましたけど、きょうは何といってもかみちゃですね。ホームラン1本で抑えた。きょうはどうしても連投続きで使えるピッチャーの数が少ない中、3イニングいってくれた。かみちゃがきょうのピッチャーの中では一番の貢献だと思います」

――開幕3連勝という結果をどう受け止めている?
「終わったことは終わったことかなと。もう気持ちと頭は、明後日からの楽天戦に切り替えています」

――スチュワート投手は90球前後が目処だった?
「90球はいく感じでしたね。でも点を取った後に取られて、初球のホームランでしたよね。2イニング続けてですか。打った方もすごいけど、野手からすれば点を取った次のイニングっていうのはね。ホームランを打てる打者がいるのもありますけど、よく集中力を切らさずにいきましたね。有原に対しても低めのボールを見極めて、つないでいけました」

――川瀬選手が初スタメンで仕事を果たした。
「彼はそれが持ち味なので。安定したパフォーマンスを出してくれますね」

――柳町選手も勝負強い。ウエートトレーニングで飛距離も出てきた。
「それもありますよね。去年から逆方向への飛距離っていうのは出てきましたし、あとは万波が後ろにそらしましたけど、あのライトの打球ですよね。インサイドの難しい球でしたけど、技術が高いなと思いました」

――他の左打者も、有原投手のカットボールに苦労する印象があったが、それを見事に捉えた。
「低めだったから距離が取れたのもありますけど、よく狙い球を絞って捉えたと思います。去年までチームメートで対戦もなかった中で、よく対応しました」

――柳町選手を3番起用するにあたり、長谷川勇也打撃コーチ兼スキルコーチとどんなやり取りがあった?
「(長谷川コーチから)聞かれたら答えようとは思っていたんですけど、僕の中ではもともと(柳町の1番は)なしだった。出塁率の高い選手を上位に置くっていう考えはもちろんわかるんですけど、今の状態を考えた時に得策ではないかなと思っていた。だから“3つ目の案”として、僕の判断でそうしました」

――上茶谷大河投手は、3イニング予定だった?
「2イニングはいく予定でした。状態がよかったのもあるし、内容を見てもう1イニングいきました」

――ロングリリーフとして頼もしい。
「先発していたのもあるし、スタミナ面を全く気にせずに送り込めるので。先発をさせていなかったらマックスで2イニングですよ。中継ぎなので明後日はあれかもしれないですけど、また回復状況を見ながらですね。どっちにしろ“上がり”は1人作るので」

――9回は松本裕樹投手だった。
「きょうは8回の予定だったんですけど、上茶谷がいい感じだったので。セーブシチュエーションなら9回は杉山で行こうと思っていました」

――開幕3連勝。日本ハムの印象は。
「長打を打てますよね。ホームラン何本打たれた? 8本でしょ? それはすごく感じますね」

――杉山投手は3連投もいとわない考えだった。
「体的にも問題はなかったので。勝ち切るゲームは勝ち切らないといけないですから」

(竹村岳 / Gaku Takemura)