緒方理貢の現在地…昨季とは一変した立場 危機感激白「“いつか上がる”は一切ない」

緒方理貢【写真:加治屋友輝】
緒方理貢【写真:加治屋友輝】

B組で過ごした1か月…「個人個人がやるだけ」

 後輩たちとともに、B組で春季キャンプを過ごした。ここから逆襲していくしかない。自身が置かれている状況に強烈な危機感を明かしたのは、緒方理貢外野手だ。

 キャンプ初日、緒方を取材しようと練習終わりに声をかけた。普段は丁寧に取材対応する男は首を横に振り、たった一言を口にした。「話せることはないですよ」。なかなか、気持ちが前を向けずにいるのではないか――。そんな印象は、ゲームでの姿を見ればすぐに覆された。対外試合では若手中心のナインの先頭に立ち、ベンチからは声を張り上げる。自覚がなければ示すことができないような言動を、しっかりと見せていた。

 2月28日、もう1度緒方に声をかけた。どのようにしてB組スタートを受け入れ、先輩としての“背中”を貫いてきたのか。「えらそうなことを言える立場ではないので。個人個人がやるべきことをやるだけだと思いますけどね」。昨シーズンとは一変した状況。逃げることなく、厳しい立場と真っすぐに向き合っていた。

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続きの内容は

豊富な1軍経験も…B組スタートをどう受け入れた?
絶対に態度は変えない…1軍のベンチから見た先輩の背中
台頭する新戦力、理解する自らの「立場」とは?

イヒネ、笹川らの台頭…昨季と一変した立場

「“試されている”ではないですけど、僕はアピールする立場なので。『いつか(1軍に)上がるでしょう』とは、自分の中では一切思っていないです。しっかり結果を残して、まずはやることをやらないと声がかからないのはわかっているので。それは言い聞かせながら過ごしてきたキャンプだったなと思います」

 2024年3月に支配下登録されると、同年は1軍でシーズンを完走した。2025年も登録抹消されたのはわずか10日のみで、キャリアハイの101試合に出場。持ち味である守備と走塁を生かして、大きな戦力としてチームの日本一に貢献した。しかし冬を超え、今春キャンプを迎えるとイヒネ・イツア内野手が外野に挑戦。笹川吉康外野手らも打撃面で台頭している状況が待ち受けていた。緒方は「競争を勝ち抜かないと1軍にはいられない。いつ呼ばれてもいいようにと思ってやっています」と強い危機感を口にする。

「自分がしっかりしないといけないのはわかっていました。B組だから態度を変えるっていうのは嫌でしたし、絶対にしたくなかったので。自分よりも年下の選手が多かった中で、示しもつかないじゃないですか。それだけはしないようにと思っていました」

 宮崎で過ごした1か月。緒方の一日は、アーリーワークから始まる。キャンプの日程が進んでいくにつれて疲労もたまるが、自身で決めた“約束”を貫いた。「もちろん自分には課題があるので、それをやり続けようと。1軍で出ることを考えたら、守備と代走からいくことがメインになるので。どれだけ体がキツくても、1クールに1回は特守を入れるのは決めていました」。現状に甘んじるのではなく、常に見据えていたのは1軍の舞台。課題にも向き合いつつ、自らの長所をさらに磨いてきた。

ベンチスタートの試合でも先頭に立ち、ナインを出迎える緒方理貢【写真:竹村岳】
ベンチスタートの試合でも先頭に立ち、ナインを出迎える緒方理貢【写真:竹村岳】

後輩に“背中”を見せる…意識を貫いた1か月間

 今季がプロ6年目。B組では嶺井博希捕手に次ぐ年長者だった。後輩たちに“背中”を見せるように意識し続けたのも、自分が教えてもらったことだから。「目の前のことで精一杯ですよ」としたうえで「やっぱり1軍の人たちって、そういうところは見せないじゃないですか。手本になるというか、ベンチの姿とかって“そういうもの”だと僕は思っています」。過去2シーズンで学んだことを示した1か月。己を見失うことなく、淡々と準備を重ねてチャンスを待つつもりだ。

「去年2軍に落ちた時も確か言ったと思うんですけど、練習や試合の態度は本当に変えたくないので。そこを一番意識していました。僕から何かを言うこともないですし、その中でも『気づいてくれたらいいな』とも思いながら。まずは自分がしっかりとした姿を見せようと思っていました。本当、これからも一生懸命にやっていくだけです」

 緒方の姿勢に斉藤和巳2軍監督も「やるべきことをしっかりとできる。もっと細部までこだわりを持てたら、なおいいと思うし。こっちから注文することもなくて、いいキャンプを送っていた」と評価していた。危機感が自分を突き動かす。隙のない姿でいれば、必ず結果はついてくるはずだ。

(竹村岳 / Gaku Takemura)