次なる“育成の星”になる可能性を存分に感じさせた。20日にアイビースタジアムで行われた今キャンプ4度目の紅白戦。多くの先輩や支配下選手を押し退け、ひときわ輝きを放った若手がいる。背番号142を背負う育成3年目右腕、藤原大翔投手だ。
首脳陣を大いに唸らせた20歳右腕の魅力と最大の武器はどこにあるのか。藤原の真っすぐには、“ある特異な性質”が隠されていた。果たして、分析担当者すら「異質」と舌を巻く、そのボールの正体とは――。
地元・福岡の飯塚高から2023年育成ドラフト6位で入団。1年目はウエスタン・リーグでの登板機会に恵まれなかったものの、昨季は同リーグで2試合に登板した。3、4軍の非公式戦では21試合計71イニングを投げて、投球回数と同じ71奪三振を記録。順調なステップアップを遂げ、今オフは上沢直之投手との合同自主トレに参加。さらに成長を加速させている。
この日最速155キロをマークしたように、生命線は自慢のストレートにある。ただ、その球筋には、他の投手にはない独特の特徴が秘められている。球団の分析担当者によれば、右腕の投じるボールは右打者からは外へ逃げ、左打者には内へ食い込むカットボールのような変化を見せる。数えきれないほどの投手のデータと向き合ってきた専門家が「異質」と表現するほど、類まれなる持ち味となっている。
現代の野球界において、投手に求められる要素の1つが“平均的ではない”ことだ。かつてはシュート回転する直球は「悪癖」とされていたが、現在ではデータ上の平均値から大きく外れる球質であればあるほど、打者にとっての打ちづらさと評価されるようになった。球速や回転数、軌道、あるいは投球フォーム――。アベレージの範囲を逸脱することが、そのまま強力な武器に変わる。背番号142の投じるボールはまさに、右投手の真っすぐの基準値から外れた、極めて特徴的な球種と言える。
当然ながら、この日の快投には周囲からも絶賛の声が上がっている。
「最高です。めちゃくちゃ(球が)速いです。あれだけ真っすぐってわかっている中でもファウルになったり、空振りしたりしている。それはやっぱり強いんじゃないですかね。困ったら真っすぐというところで、ファウルが取れるピッチャーはキャッチャーとしても楽。いい球を投げているなと思います」
こう舌を巻いたのは海野隆司捕手だ。打席で対峙した藤原のボールを、捕手としての目線も交えて高く評価している。
また、師匠として自主トレを共にした上沢も、愛弟子のポテンシャルに惚れ込んでいる。
「もともと一緒に練習していた時からすごかった。僕はみんなに『エグいよ』って言っていて、みんなも同じような意見だった。本当に若くて、あれだけのボールを投げられるって魅力的だと思いますし、羨ましいなって思います」
そう語り、若き才能の成長に目を細めていた。
今キャンプ初の紅白戦登板で、強烈な存在感を際立たせた若きホープ。
「自信のある真っすぐでどんどん押せて良かったと思います。去年は余裕がなかった。今日は自分のピッチングに集中して、余裕を持って投げられた」
1イニング3失点に終わった昨春キャンプの紅白戦から、確かな進化を実戦で証明してみせた。ブレイクの予感を漂わせる“異質のストレート”を武器に、一気に支配下への階段を駆け上がる。