たった2週間で驚きの成長…イヒネは「GG賞獲れる能力」 首脳陣の脳裏によぎる“1人の名手”

外野を守るイヒネ・イツア(左)【写真:栗木一考】
外野を守るイヒネ・イツア(左)【写真:栗木一考】

キャンプインから2週間…イヒネは「マジで上手くなっている」

「吸収スピードが速い。今、外野からのスローで一番の力強さがある」。小久保裕紀監督もその成長ぶりに目を細めるのは、ドラフト1位で入団し4年目を迎えたイヒネ・イツア内野手だ。今春のキャンプでA組スタートを掴んだイヒネは、代走や守備固めでの1軍枠入りを目指し、現在、外野守備に挑戦している。

 本格的に外野の練習を始めたのは、昨年11月の秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」から。当時は平凡なフライを落球する場面もあった。しかし、今キャンプのライブBP(実戦形式の打撃練習)では広い守備範囲と持ち味の強肩を披露。全体練習後も外野の特守に残り、ひたすらノックを受け続けている。

 大西崇之1軍外野守備走塁兼作戦コーチも「キャンプが始まって2週間だけど、外野手としてびっくりするぐらいかっこよくなっている」と舌を巻く。同コーチはある“名手”の名を挙げ、イヒネのポテンシャルを語った。

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続きの内容は

大西コーチがイヒネに重ねた「ゴールデングラブ名手」の正体
首脳陣が明かした「本当に外野の方が向いてるかも」の本音
昨季の課題克服へ、キャンプで徹底した「送球の意識」とは

「あのな、陽岱鋼って知ってる?」

 突如名前を挙げたのは、外野手として4度のゴールデングラブ賞に輝いた陽岱鋼(現オイシックス)だ。陽もまた、2005年高校生ドラフト1巡目で遊撃手として日本ハムに入団し、4年目に外野手へコンバートした経歴を持つ。

「陽が入団した時、俺は巨人2軍のコーチでね。試合で見ていても肩が強いし、バッティングもパンチがあって、『すごいショートになるな』と思ったのよ。でも、肩は強いけど送球が荒れていた。そこから外野に転向して、すぐにゴールデングラブ賞を獲ったのよ。だから今のイヒネを見ていると、陽岱鋼がすごくよぎる」

 昨季、イヒネは2軍でチーム最多の110試合に出場。三塁で7失策、遊撃で15失策を喫し、特に送球面に課題を残した。それでも外野に戦場を移すと、その“強さ”が武器へと変わる。今キャンプの第3クールでは「カットマンの高さより上には投げない」という意識を徹底。低く地を這うような送球を繰り返し、制度を磨いている。

 その様子は球場にいるすべての人へと伝わるほどのインパクトがある。「正直、『キャンプが終わるまでにそれなりに守れるようになってくれたらいい』くらいに思っていたのよ。でも今は、外野手としてびっくりするぐらいかっこよくなっている。捕る方は特にマジで上手くなっている。試合に出られるようになったら、将来的にゴールデングラブを獲れるくらいの能力はあると思う」と、大西コーチは太鼓判を押す。

 小久保監督は「1軍枠を争うところが、外野手の代走からの守備固めなので」と今のイヒネの立ち位置を語る。イヒネ自身も「1軍で出るためならどこでも守る」と、外野3ポジション全てが守れるよう、意欲的な姿勢を見せる。

「おいイヒネ、今外野が楽しいやろ」。そう投げかけた大西コーチに、「めちゃくちゃ楽しいです」と笑顔で返す21歳。「上手くなっているのは少し感じる」と手応えも口にする。首脳陣をワクワクさせる異次元の成長曲線。名手への階段を一気に駆け上がろうとしている――。

イヒネ・イツアと(左)と大西崇之1軍外野守備走塁兼作戦コーチ【写真:加治屋友輝】
イヒネ・イツアと(左)と大西崇之1軍外野守備走塁兼作戦コーチ【写真:加治屋友輝】

(森大樹 / Daiki Mori)