2月に155キロ…大竹風雅に何が起きた? 激変の鍵は千賀滉大が示した自主トレ“参加条件”

大竹風雅【写真:栗木一考】
大竹風雅【写真:栗木一考】

大竹が第3クールからA組に昇格した

 指揮官も驚くほどの変貌だった――。5年目の育成・大竹風雅投手が、春季キャンプ第3クール初日の10日からA組に昇格した。8日に行われたライブBPでは、打者2人に対し5打席を無安打に抑え、自己最速を更新する155キロを計測した。視察した小久保裕紀監督も「驚きました。去年とは全然違う姿。千賀(滉大)とやった自主トレが身についてきた感じ」と高く評価した。

 オフは3年連続でメッツ・千賀滉大投手との自主トレに参加した。12月はタマスタ筑後、1月は沖縄で貴重な時間を過ごした。「元々は最速152、153キロほどだったので、この時期に155キロが出たのはうれしいですね」と淡々と語る右腕。師匠との時間で、一体何が起きたのか――。

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続きの内容は

千賀が指摘した球速低下を招くフォームの「致命的な癖」とは
師匠・千賀が自主トレ参加で課した「厳しい条件」の内容
「暇さえあれば…」大竹を24時間野球漬けにした千賀の姿勢

「ずっと肘を前に出す癖があったので。肩、肘、手が一直線になる『シングルプレーン』と言われるラインを、12月からずっと意識してきました」

 筑後での自主トレ中に千賀から指摘されたのは、故障のリスクを高め、球速低下を招く「フォームの癖」だった。実際、昨季は開幕直後から球速が伸び悩み、制球にも苦しんだ。相手打者ではなく、自分自身と戦ってしまう試合も少なくなかった。

 実は千賀自身もかつて、肘を前に出さないことを意識し、胸と肘のラインを一直線に保って体幹の回転で投げることで、球速を向上させた経験がある。師匠からは、1月の沖縄自主トレへの参加条件として「その癖を修正してくること」が提示されたという。千賀が年末年始を米国でのトレーニングに充てている間、日本に残ってフォーム改善に没頭した。その徹底した意識が、感覚を劇的に変えた。

「以前の感覚とはフォームも全く別物で。沖縄の自主トレでもメジャーリーガーの動画とかを共有してもらいながら、体の使い方で多くのアドバイスを貰いました。その中から自分に合うものを選び取り、試行錯誤できた期間でした」

自主トレを行った大竹風雅(左)と千賀滉大【写真:竹村岳】
自主トレを行った大竹風雅(左)と千賀滉大【写真:竹村岳】

変化した大竹の姿に「あとは…」

 憧れの存在である千賀の背中を追う中で、日常生活も一変した。「今は寝るまでずっと野球のことを考えている感覚です。暇さえあれば動画を見返し、気がつくと鏡の前でシャドーピッチングをしている。千賀さんの姿勢に影響を受けたのは間違いないです」と、文字通り24時間野球に集中する日々を送っている。

 奥村政稔2軍投手コーチも、変化した大竹の姿に「B組の中で間違いなく一番の状態だった」と太鼓判を押す。「あとは対打者。去年はブルペンで良い球を投げていても、試合になると自分自身と勝負してしまう時もあった。アピールしてスタートラインには立てたので、実戦が続くここからが本当の勝負」と期待を込める。

 2022年に支配下で入団するも、直後にトミー・ジョン手術を受け、リハビリのために育成契約となった右腕。リハビリから復帰を果たした2年目の「みやざきフェニックス・リーグ」では、小久保監督に「あんないいピッチャーとは思わなかった。収穫です」とまで言わせてみせた。あれから2年。11日のライブBPでは、A組野手を相手に登板する。大きく成長した姿を見せ、再び支配下枠を勝ち取って見せる――。

(森大樹 / Daiki Mori)