体重激減で遠投も届かず…木村大成が過ごした“苦悩の日々” 成長の裏で「あの経験がなかったら…」

木村大成【写真:森大樹】
木村大成【写真:森大樹】

体重5キロ増、木村大成が過ごしたオフ

 迫る2026年シーズンに向け、目に見える成果があった。「この時期にしては球の状態もすごく良いです。楽しみというか、良いオフを過ごせたなって」。そう語るのは、5年目を迎える木村大成投手だ。3か月のオフシーズンを経て、明らかに体は大きくなっていた。小笠原孝2軍投手コーチ(チーフ)も「楽しみな存在ではありますね」と左腕を高く評価する。

 2026年は同学年の大卒選手も入団するなど、文字通り“勝負の年”を迎える。昨シーズンは2軍で36試合に登板し、3勝2敗、防御率2.15をマーク。地元・北海道での日本ハム戦では、わずか2日間ながら自身初の1軍昇格も経験した。「1軍で早く投げたい。結果はもちろん、投球内容も求められてくる」。目指すべき“場所”が明確になった1年だった。

 オフは体作りをメインに取り組み、2025年シーズン終了時の体重81キロから現在は86キロに。3か月で約5キロの増量に成功した。順調にステップアップしているように映るが、その背景には忘れられない記憶がある。「あの時があったから、こうやって順調に1年1年成長できているのかなと思います」。今でも左腕の心に残っているのは、2024年に起きた“悪夢”のような経験だった――。

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続きの内容は

どん底で「野球を辞める」とまで考えた木村投手が立ち直れた“きっかけ”
遠投も届かぬ状態から救った川越コーチの「驚きの処方箋」とは
チームスタッフが証言した、木村大成投手の「今年が楽しみな理由」

「2年前の開幕当時は、体重が落ちて全然投げられなかった。あの経験が大きかったです。あのころは球速もマックスで140キロくらい。試合に出てもボコボコに打たれて、あの時は本当につらくて……。『もう試合で投げたくない。野球を辞めようかな』とまで考えていました」

 プロ入りから2年間は怪我の影響もあり、マウンドに上がることすらままならない日々が続いた。ようやく自身の投球を見せられると意気込んで迎えた2024年だったが、開幕時の体重は約70キロまで落ち込んでいた。遠投すら届かない日々。試行錯誤の末にフォームはバラバラになり、何一つうまくいかなかった。

「当時は『ウエートで体が硬くなったから、こんなに怪我をしたんじゃないか』とずっと思っていて。でも川越(英隆)コーチが一から体作りを提案してくれて。1か月間立ち止まって、ウエートトレーニングを中心に鍛え直したことで身体と球速が普通の状態に戻ったんです。正直あの経験がなかったら、今も野球ができていないかもしれないです」

スタッフも証言した“変化”「今年がすごく楽しみ」

「あとは継続するしかない」。そう自分に言い聞かせ、それからの2年間はトレーニングを積み重ねてきた。木村大の変化を、勝永将史SC(ストレングス&コンディショニング)も頼もしく見ている。4軍でくすぶっていた頃から、その歩みを支えてきた1人だ。

「2年前くらいまでは『肩が張って投げるのに影響する』と、中々トレーニングを継続することができていなかった。でも去年は『本当に体作りからやりたい』と言ってきて継続してやって、精神的にもすごくタフになったなと感じます。それが1年間、2軍で完走できた理由なのかなって思いますね」

 タマスタ筑後の室内練習場でも、一通りのメニューを終えてすぐさまウエート場へ向かう姿が頻繁に見られた。「順調に伸びてきている。今年がすごく楽しみな投手ですね」。チームスタッフも左腕に成長を感じていた。

 首脳陣から今季も中継ぎ投手としてスタートすることを伝えられている。「球速は上がってきているんですけど、1軍の中継ぎはアベレージで150キロは出さないといけないと思う」。成長を実感するオフを経て、表情は明るく自信に満ちていた。

(森大樹 / Daiki Mori)