川瀬晃「今だから言えるけど…」 刻まれた「5・2」ではない記憶、救われた周東佑京の言葉

大分県国東市での自主トレで笑顔を見せる川瀬晃【写真:飯田航平】
大分県国東市での自主トレで笑顔を見せる川瀬晃【写真:飯田航平】

自主トレでは柵越えを連発…華麗なグラブさばきも披露

「今だからこそ言えるんですけど……」。そう前置きしたうえで、川瀬晃内野手が振り返ったのは「5・2」に至るまでの険しき道だった。2025年のホークスを救った一打が注目されがちだが、川瀬にとって大きな財産となったのは“屈辱”だった。

 キャンプインまで残り2週間となった18日、川瀬は大分県国東市の自主トレ先で軽快な動きを見せた。内野ノックでは遊撃のポジションで華麗なグラブさばきを披露。フリー打撃では右翼フェンスを軽々と越える柵越えを連発した。その姿からは、レギュラー取りを狙う11年目への意気込みが伝わってきた。

 昨年5月2日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)で放ったサヨナラタイムリーは、川瀬の野球人生を大きく変えたといっても過言ではない一打だった。それでも記憶に深く刻み込まれているのは、チームとともにもがいた「1か月間」だった。

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川瀬が見た「真のリーダーのあるべき姿」
初めての最下位経験で得た「最大の財産」
2026年ホークスを牽引する川瀬の「新たな目標」

「去年は初めて最下位も経験しましたし、みんなで下から勝ち上がっていった嬉しさというのは、僕的にはすごくたまらなかったので。今だから言えるんですけど、すごくいい経験をしたなと思いますね」

「僕がプロに入ってホークスが最下位になるのは初めて」

 チームは開幕3連敗とスタートダッシュに失敗すると、5月1日までに2度の5連敗を喫し、単独最下位に沈んでいた。「打線が繋がらなかったり、投打が噛み合わなかったりがたくさんあったので。本当に『なんでだ』みたいな感じでしたね」。川瀬は当時の心境を赤裸々に振り返る。

「僕がプロに入ってホークスが最下位になるのは、恐らく初めて。しかも、1軍にずっといさせてもらったうえでのことだったので。自分が苦しかったことはいっぱいあったんですけど、チームが苦しいというのはあまり経験したことがなかった。すごく色んな事があったなという1年でした」

 歯車がかみ合わず、もがいた時期で気付いたこともある。「負けていても周東(佑京)さんが言動で引っ張ってくれたので。すごく心強かったですね。『まだ(シーズン)前半だから、焦らんでもいいよ』といった言葉を常に掛けてくれたおかげで、本当に頑張れたんじゃないかなと思いますね」。リーダーの姿勢が何よりチームに力を与える。その事実を目の当たりにしたことは大きかった。

「だからこそもう1度、今年もリーグ優勝と日本一になりたいという気持ちは大きいです」。苦しみぬいた先に掴んだ栄光。喜びは比べようもないものだった。その中心にいた28歳が、2026年もチームを頂点へと導く。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)