急きょ開かれた送別会「明日1人で家行くわ」 30分の焼肉…松本晴が交わした“2人だけの約束”

2人で食事をした松本晴(左)と宮崎颯【写真提供:松本晴投手】
2人で食事をした松本晴(左)と宮崎颯【写真提供:松本晴投手】

2022年のドラフト同期…宮崎颯と松本晴の食事会

 同じ左腕、同じ年に入団した“同期”の存在は、刺激であり支えでもあった。11月中旬、ひっそりと行われた“2人だけの送別会”。「寮にいるときから僕の部屋で話したりしてましたね」。松本晴投手にとって、宮崎颯投手は大切な同期だった。

 宮崎は2022年育成ドラフト8位でホークスに入団。今季は2軍で好成績を残し、7月に支配下登録を勝ち取った。しかし10月末にわずか3か月で戦力構想外通告を受けた。その後、11月13日にロッテが獲得を発表。福岡の地を離れることになった。

 2人で食事をした前日には「2000年会」が開かれ、宮崎、前田純投手、木村光投手、渡邉陸捕手、西尾歩真内野手、重松凱人外野手、中村宣聖3軍担当兼3軍サブマネジャーの合計7人が参加した。なぜその翌日に、改めて“2人だけの送別会”が開かれることになったのか。その経緯と、別々の道を歩むことになった今だから明かせる同期への思いを聞いた。

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続きの内容は

なぜ急きょ開催?同期会翌日の“2人飯”の真相
松本晴が「負けられない」と思った同期の”成長”とは
来季ローテへ!松本晴が強く誓った「覚悟の言葉」

「前日の同期会のタイミングは僕は予定があって、行けなかったんです。『なかなか会えなくなるし、明日俺1人で(宮崎の)家に行くわ』って本人に伝えて。結局、宮崎の家で1時間くらい話して『飯行こうか』ってなって、急きょ入った焼肉屋さんでテンポよくお肉食べて30分で会計しました(笑)」

 寮にいる時はよく松本晴の部屋で集まっていたという2人。話題は野球や、技術的なことが多かった。「あいつ本当にすごい真面目なんで。家に行ったときも、野球の話が多かったですね。焼肉の時は『肉めっちゃ美味いね』だけですよ」と笑顔で時間を振り返った。同じ左腕で同期入団、互いに意識し合うライバルだったからこそ、宮崎の成長は松本にとって大きな刺激になっていた。

「今シーズン序盤から宮崎の投球パフォーマンスがすごい良くて。僕は色々な選手の映像を見るんですけど、宮崎のファームの試合も見ていました。球速も上がっていて、投げている姿を見た瞬間、すごく刺激をもらって。『負けられない』と思ったことを覚えています」

異なるチームに移籍しても「高め合いたい」

 異なるチームに移籍しても、同期としての思いは変わらない。「来年は1軍で、敵チームとしてしっかり投げ合えるように。『頑張ろうな』といった話はしました。同期だけど、ライバルとして高め合いたいなと思います」。にこやかに1軍の舞台での再会を誓った。

 松本晴は3年目の今季、15試合の先発を含む自己最多の29試合に登板。6勝を挙げるなど飛躍の1年となった。11月末には、ノースカロライナ州シャーロットのトレーニング施設「トレッド・アスレチックス」で調整を行い、帰国後は体づくりを中心に据えて2月の春季キャンプへ向け調整を続ける予定だ。

 来年の目標に掲げたのは、「怪我をしないことと、1年間先発ローテーションで投げきること」。そして背番号49は言葉をさらに強めた。「1年間ローテーションで投げたい、ではなくて『絶対に投げる』なので」。1軍のマウンドで再会するために――。笑顔で仲間を送り出し、自らも腕を振り続ける。

(森大樹 / Daiki Mori)