抱えた痛みに「もう無理です」 叶えたかった目標…石見颯真、リハビリ合流までの3か月

石見颯真【写真:竹村岳】
石見颯真【写真:竹村岳】

石見は右膝痛のためリハビリ組で調整

 悔しさを胸に来季へ向け、調整を続けている。「本当だったらリハビリには入りたくなかったんですけど……」。そう語るのは、右膝痛のためリハビリ組で調整を続ける石見颯真内野手だ。

 ドラフト6位で入団した1年目は、2軍で43試合に出場し、打率.264、28安打と存在感を示した。しかし、シーズン終盤の10月にリハビリ組へ合流し、復帰することなくシーズンを終えた。

 高卒新人離れした打撃で注目を集めた19歳。周囲からの期待が高まる中での無念の離脱となった。1年目を振り返り、叶えたかった目標やリハビリ組に合流するまでの“葛藤”を明かした。

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続きの内容は

・1軍昇格へ「心の準備」を促した“人物”の正体
・膝が限界…トレーナーに告げた「もう無理です」の真相
・宇野と誓った「野球ができない」2人の変わらぬ“目標”

「優勝が早く決まれば1軍があるかもしれないよ。心の準備だけしておきな」

 シーズン中、周囲からこんな言葉をかけられた。石見本人も「優勝が決まった後に1軍で出られたら」と序盤から目標を掲げてきた。順調に出場を続けたが、7月の2軍戦でジャンピングスローをした際に右膝を痛めてしまった。「今シーズンをやり切りたかったので」と、以降はトレーナーやコーチと相談しながら、練習強度を調整して出場を続けたが、痛みは蓄積するばかりだった。

 その後、2軍のシーズンが終了するまでは出場を続けたものの、「練習で膝が限界にきちゃって……。それで『もう無理です』と言ってリハビリ組に合流しました」と悔しさをにじませる。現在はバランスボールを使ったトス打撃や、エアロバイクを漕ぐなど下半身のリハビリを少しずつ再開している。

画面越しに感じた「やっぱり1軍の選手ってちゃうな…」

 チームの5年ぶり日本一は寮で見届けた。「優勝の瞬間もすごかったですけど、やっぱり1軍の選手って違うなと思いました」。尊敬する名手・今宮健太内野手の守備を見て「ボールがグラブに吸い込まれるように見えました。2軍で間近にプレーを見ていた分、テレビ越しに見ると『ただすごい』で終わっていたプレーの凄みが、さらに増して見えました」と、トップのレベルの高さを改めて痛感した。

 室内練習場では、7月に右肘関節内側側副靭帯再建術(トミー・ジョン手術)を受けたドラフト同期の宇野真仁朗内野手と並んで、黙々と汗を流す。「一緒にいる時は、最近野球の話はしていないです。2人とも野球ができないので……」。野球への渇望を抱える2人だが、変わらぬ目標は1軍で二遊間を組むことだ。「『ずっと一緒に二遊間組もうね』という話はしていたので」。

 オフシーズンは筑後で調整を続け、まずは怪我の完治に専念する。「来年は春のキャンプから万全の状態でいけると思います。1年目の心を忘れず、がむしゃらにアピールしたいです」。ファンが期待に胸を膨らませた19歳のデビュー。来季こそは1軍の舞台でその姿が見られることを心待ちにしたい。

(森大樹 / Daiki Mori)