2度の手術は「ホークスだからできた」 ドラ4宇野の本音…飛行機で見た柳田の“衝撃弾”

宇野真仁朗【写真:森大樹】
宇野真仁朗【写真:森大樹】

ドラ4宇野の現在地「僕、今暗そうに見えますか?」

「僕、今暗そうに見えますか?」。突然、真っすぐな表情でこちらに声をかけてきたのは、ドラフト4位ルーキーの宇野真仁朗内野手だった。

 今季は開幕直後に2軍で10試合ながら打率.391と鮮烈なデビューを果たした19歳。誰もがその未来に胸を躍らせたが、7月31日に右肘関節内側側副靭帯再建術(トミー・ジョン手術)、9月17日には左尺側手根伸筋腱腱鞘再建術、ならびに左TFCC(三角線維軟骨複合体)縫合術を受けたことが発表された。現在は来春の復帰を目指し、懸命にリハビリを進めている。

「まだ全然、何もできないので」。内野ノックではボールをキャッチする体勢までが精一杯。そんな中で明かしたのは、純粋で強い思いだった。「手術した直後よりも、今が一番野球をしたい気持ちが強い」――。19歳が“現在地”を明かした。

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続きの内容は

宇野選手が明かした胸中とは
ホークスだからできた決断の背景
柳田選手の一発が宇野にもたらした影響

「もちろん手術直後は腕とか肘が動かせなくなるのはわかっていたので。だから(プレーができない)諦めは付いていたんですけど。でも今、普通の人と同じように生活できているじゃないですか。『あれ。野球できるんじゃない?』みたいにふと思っちゃうんですよね」

 TJ手術直後には右腕にギプスをはめ、肘を曲げる角度すら制限されていた。しかし今は装具も取れ、リハビリメニューをこなしている。だからこそ、グラウンドに立つチームメートの姿が、より一層まぶしく映っていた。

「でも絶対にやらないといけない手術だったので。今、ちゃんと自分を見てくれる環境で、しっかり説明を受けながらリハビリできているので良かったなと。逆にホークスだったからこそ、できた決断だと思っています」

 シーズン中の1軍昇格を1年目の目標に掲げていただけに、悔しさはもちろんある。それでも、それ以上に強く心に残ったのはホークスへの感謝だった。9月に受けた左手首の手術は、元々入団直後に痛めていた箇所。100%の状態で復帰をしたいという思いから決断した。大好きな野球に全力で打ち込むため、未来を見据えて受けた手術に後悔はない。

明かした「リハビリ中の過ごし方」

 リハビリ中の過ごし方を尋ねると、「『Netflix』『読書』『サウナ』。この3つですね」と笑顔を見せながら近況を話してくれた。月に1回、定期検査のため飛行機で関東の病院へ向かう。その機内で、チームの大先輩が放った“衝撃の一発”を目にした。

「あそこで打っちゃうんだって思いました」。それは、CSファイナルステージ第2戦。柳田悠岐外野手が逆方向の左翼スタンドへ放った決勝3ランだった。「『あ、うわっ』って思わず飛行機の中で声が出ましたもん(笑)。もう打った瞬間、鳥肌立ったっすね」と振り返る。

 そんな興奮も、野球への渇望をさらに強くした。「2桁の背番号を背負っていて、何もできずに終わってしまいました。全然試合に出られなかったので、悔しい気持ちが本当に大きいです」。今季、ファンの心を躍らせるような2軍デビューを果たした19歳。来年こそは1年を通じてその姿が見られることを心待ちにしたい。

(森大樹 / Daiki Mori)