リーグ優勝が決まった翌日の先発・大津が見せた行動
2年連続のリーグ優勝、そして歓喜に沸いた祝勝会の熱気が冷めやらぬ中で、翌日のマウンドにはいつもと変わらぬ右腕の姿があった。「お酒は一滴も飲んでいないですし、楽しむだけ楽しんで明日良い気持ちでいけるようにという感じで(ビールかけには)参加しました」。
28日の西武戦(ベルーナドーム)に先発した大津亮介投手は、5回2安打1失点の好投で自身4連勝となる6勝目を挙げた。チームのリーグ優勝が決まった次の日。「自分だけだと思うけど、『きょうの試合に勝てば優勝だ』と、言い聞かせてマウンドに上がった」という自らを鼓舞して臨んだ一戦だった。
もちろん前夜のビールかけには参加した。しかしその裏で、祝勝会の開始直前、会場の前で右腕が見せた行動には翌日の先発に向けた“意識”が明らかに表れていた――。
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続きの内容は
・ビールかけ直前の「意外な行動」
・優勝翌日登板で自身にかけた「言葉」
・ポストシーズンへ向けた「熱い決意」
ビールかけの開始直前、ゴーグルを手に会場前で何かを探す大津の姿があった。「目が充血しちゃう」と笑いながらも、その目は真剣だった。試合後、その行動の意図を明かした。
「いや、あれプラスもう1個上から(ゴーグルを)したかったんですよ。絶対目に(ビールが)入らないように」。翌朝、鏡で確認すると「ちょっと(目が充血)してました。実際(にビールが目に)入りましたもん」と振り返った。
歓喜の中でも気持ちはマウンドに向いていた。「(試合で)そういう雰囲気を出せないな、みたいなのはやっぱりありました。投げるのは自分で、打たれたら自分が悪いので。そこは逆に自分にプレッシャーかけられたという部分はありました」。祝勝ムードの中でも、高いプロ意識で投手としての責任を全うした。
ビールかけが終わったのは深夜0時過ぎだった
ナイターで優勝が決まり、ビールかけが終わったのは日付が変わった深夜0時過ぎ。午後2時プレーボールというハードなスケジュールに加え、今季初となる中5日でのマウンドだった。「きょうは5回と決まっていたので、気持ちの面でも『5回を全力で』と集中して投げられました」と振り返る。
シーズンが佳境に入った9月は、4試合に登板して3勝0敗、防御率0.38と完璧な投球を見せている。この日、2回に喫した失点は実に26イニングぶりという抜群の安定ぶり。「いつかは失点するので。でもそこから立ち直って、また試合を作ることだけを意識して投げられました」と手応えを口にした。
この登板は、大津自身にとってもポストシーズンへ向けた大きなアピールの場だった。今シーズンは5月中旬から約2か月間、2軍で過ごす悔しさも味わった。「CS(クライマックスシリーズ)、日本シリーズで投げられるようにアピールしていきたい」。マウンド上で自分の力を示し、次の戦いを見据えていた。
(森大樹 / Daiki Mori)