21日の試合で3度の満塁機を逃した牧原大
リーグ連覇を前に「最後の壁」が立ちはだかっている。本拠地みずほPayPayドームでオリックスに痛恨の4連敗。まさに“生みの苦しみ”といえる状況でも、変わらぬ姿を見せたのが牧原大成内野手と周東佑京内野手だ。
4連敗はいずれも1点差に泣いた。1-2で競り負けた21日の同戦では、牧原大に3度の満塁機で打席が回ったものの、全て凡退に終わった。好機であと1本が出ないチームを象徴するようなシーンだったが、22日、23日の試合ではともに2出塁をマーク。プロ15年目のベテランが気持ちの強さを見せつけた。
23日の試合後、牧原大は落ち着いた様子で口を開いた。「僕らはただ、1試合1試合を一生懸命戦うだけなので」。シーズン開幕からチームを支え続けてきた男の思い、そして周東がベンチで見せていた姿――。4連敗を喫してもなお、変わらない“決意”に迫った。
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続きの内容は
・牧原大が語った、4連敗でも「変わらぬ強さ」
・周東がベンチで見せた“真意”とチームへの思い
・首脳陣が明かした「周東起用」の可能性
「一生懸命やるだけじゃないですか。たまたま結果が出ていない、たまたま打線がつながっていないだけなので。みんな一生懸命にやっているし、どこかが疎かになっているわけじゃない。シーズン中に起こり得る苦しい状態が、今ここで出ているだけなので。別に雰囲気も悪くないです」
首脳陣が証言「行くぞと声はかけていない」
牧原大が語ったのは、変わらないことの大切さだった。もちろん悔しくないはずがない。それでも1年間戦ってきた自分たちの力を信じることこそが、歓喜のゴールテープを切るために欠かせないことだと知っている。
「あれだけ主力が離脱して、レギュラーがいなくなって。借金7までいった中で、今この順位でいられること自体がすごいと思っているので。周りが優勝、優勝と言っているだけで、僕らはただ1試合1試合を一生懸命戦うだけなので。もちろん勝ちたいという気持ちでやっていますけど、相手がいることなので」
背番号8の言葉を表すかのようなシーンが23日の試合中にあった。9回の攻撃を前に、周東がベンチでバッティンググローブをはめた。背中を痛め、20日を最後に試合に出ることができていない選手会長。23日も最後まで出番はなかったが、この行動にこそ周東の思いが表れていた。
「ベンチから『行くぞ』という声はかけていないです。彼が自分で考えての行動だったと思います」。そう明かしたのは奈良原浩ヘッドコーチだった。「無理やり行かせるような状態じゃない」と、ベンチに起用の意思がなかったことを説明した。
周東は23日の試合後、こう語っていた。「パフォーマンスです。試合に出る予定はなかったので。パフォーマンスです」。冗談っぽく交わしていたが、チームを鼓舞するための姿だったに違いない。苦しい時期を乗り越え、ゴールテープが目前に迫っているレギュラーシーズンも残り8試合。今こそ自らの力を信じ抜き、戦い切るだけだ。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)