右翼直訴は前夜に伝えていた…近藤健介の“壮絶な覚悟” チームの空気は「全然違う」

ベンチから試合を見守る近藤健介【写真:小池義弘】
ベンチから試合を見守る近藤健介【写真:小池義弘】

18試合ぶりに守備…右翼線の打球を好捕も

 残り10試合で自ら“リミッター”を解いた。全ては優勝の2文字のため――。0-1で競り負け、3連敗を喫した9月22日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)。18試合ぶりに右翼守備に就いた近藤健介外野手が口にしたのは“不退転の覚悟”だった。

 最後まで諦めない姿勢を示した。1点を追う8回の先頭で打席に立つと、5球続けてファウルで粘った。最後は空振り三振に倒れ、打席内で左膝をつきながら悔しがったが、この日は2安打をマーク。6回2死一、三塁の守りでは太田の右翼線への飛球に猛ダッシュし、ボールをつかむ好プレーもみせた。試合は落としたものの、気を吐く活躍ぶりだった。

 8月29日のロッテ戦(ZOZOマリン)で左脇腹に違和感を訴え、以降はDHでの出場が続いていた。シーズン最終盤を迎えた今、身体は悲鳴を上げているにもかかわらず、首脳陣に右翼守備に就くことを自ら志願した。近藤が明かしたのは、前日21日にあったやりとりだった。

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続きの内容は

• 近藤健介が“不退転の覚悟”で明かした決断の真相
• 首脳陣が語る、近藤の言葉に隠された「真の意図」
• 柳田悠岐復帰がチームにもたらす「本当の効果」

「出ますと伝えたのは、昨日(21日)の試合が終わってからですね。もう残り試合も少ないですし、身体が万全じゃないとか言っていられないので」

奈良原ヘッドも最敬礼「意気込みが何より」

22日に柳田悠岐外野手が1軍復帰することは既定路線だった。ファームで守備に就いたのは1度だけだった先輩の状態を考慮し、自ら守備に就くことを決めた。

 近藤の強い決意に首脳陣も深く感謝した。小久保裕紀監督は22日の試合後、「自分から(右翼で出場すると)言ってきて。守れるということだったので」と言及。奈良原浩ヘッドコーチも「本人がいけるかどうかというところだったので。何よりその意気込みというか、優勝するためにという気持ちですよね」と口にした。

 チームはリーグ連覇という最大の目標を前に3連敗と足踏みが続いている。それでも近藤は「いい雰囲気ではありますよ」ときっぱり言い切る。その理由は、5か月半ぶりに1軍へ戻ってきた“リーダー”の存在があった。

「ギーさんはやっぱりスーパースターなので。ベンチにいるだけで安心感も全然違いますし。もう残り試合をみんなで頑張るだけかなと思います」

 各選手とも万全な状態とはいいがたいが、役者は顔をそろえた。その中でも、チームの柱が背番号3であることは間違いない。苦しい時こそチームを救うのが“天才打者”だ。満身創痍の体で最後の力を振り絞る。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)