野村勇を襲った“最悪の目覚め” 「怖かった」…わずか3日後に成しえた汚名返上

ビックイニング呼び込む適時打
食事は喉を通った。眠りにもつけた。それでも脳裏から“悪夢”を消し去ることはできなかった。自らが犯した痛恨のミスは、自らの手で取り返すしかない――。野村勇内野手の思いがバットに乗り移ったかのような一打だった。
14日のオリックス戦(京セラドーム)、0-3で迎えた6回1死一、二塁の場面だった。野村が山岡の直球を捉えた打球は、鋭く三塁線を破った。この試合初得点をたたき出すと、ここから打線がつながり一挙4得点で逆転に成功。猛攻の口火を切った28歳はベンチに向けて右手の人差し指を高々と掲げた。
「とにかく甘いボールを積極的にスイングしようと思いました。チャンスを生かすバッティングができて良かったです」。そう口にした野村にようやく戻った笑顔。2度の送球ミスが重なり、チームも敗れた11日のロッテ戦(ZOZOマリン)。野村が明かしたのは、一夜が明けた朝に抱いた率直な思いだった。「落ち込んだ? もちろんです」――。

「普通に過ごしました」も拭い去れなかった不安
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)