1軍で“怖さ”を知った松本晴へ…大関友久が語る心理面の鍵 練習から“不安”を消すための方法

手練習で言葉を交わす大関友久、大津亮介、松本晴(左から)【写真:竹村岳】
手練習で言葉を交わす大関友久、大津亮介、松本晴(左から)【写真:竹村岳】

松本晴が中継ぎに配置転換「自分を苦しめている」

 思い悩む後輩へ、鍵となるのは「獲得型の思考」だ。3登板連続で白星を逃した松本晴投手が中継ぎへと配置転換。「失敗を経験して、今までのように何も考えずに投げることができなくなってきている」と苦悩を吐露した。そんな後輩のために、自身の経験を口にしたのが大関友久投手だ。

 松本晴は7日の楽天戦(みずほPayPayドーム)に先発したが、太田に勝ち越し2ランを浴びるなど、4回3失点で降板。小久保裕紀監督も「太田のホームランは仕方ないでは済まされない。この優勝争いをしている中で」と厳しく言及した。本人も「ミスを嫌がるというか……。慎重になっているのが自分を苦しめて、100%のパフォーマンスを出せないような状況を作ってしまっている」と壁にぶち当たっていた。

 失敗を恐れ、思うような力を発揮できない。アスリートなら、誰しもが通る道のりだ。そんな中、大関は今季すでにキャリアハイとなる12勝を記録。スポーツ心理学から飛躍のヒントを見つけ、首位を走るチームに貢献している。松本晴より3学年上の左腕は、立ちはだかった壁をどのように乗り越えてきたのか。「まだ晴とその話をしていないので、わからないところも当然あります。あくまでもスポーツ心理学的に」。そう前置きした上で、自分の経験を振り返った。

大関が掲げる今季の目標は13勝と160イニング

「もし『ミスをしないように』と思っているのなら、それは『防御型の思考』です。本来は『獲得型の思考』でいった方が、最高の結果が得られると思います。何かを掴みにいく意識というか。試合中に『獲得型』であるために、試合中にどういうミスが起こる可能性があるのか、ちゃんとリスクマネジメントして、頭に入れておくこと。その中で『何をしにマウンドにいくのか』というところまで、考えられたらいいかもしれないです」

 大関自身も、細かく目標設定を重ねて成長を遂げてきた。まずは徹底的に準備する。試合で積極的になるためにも、“不安”は練習で必ず消しておくように心がけてきた。「これをやると決めてマウンドにいく。その上で『もしこうなったら、こうしよう』っていう対策を組むことで、より集中ができるんです。うまくいかなかったとしても、戻る場所がある。それが安定感につながると思います」と続けて語った。

 さまざまなパターンを想定しておくことで、ピンチでも地に足をつけて投球できる。今季の大関を象徴する“活躍の鍵”だ。「スポーツ心理学的にも、取りに行くという姿勢はどんな時にも必要なことだと思ってやってきました。その方が判断が早かったり、勇気が湧いてくるので」。プロ6年目の今シーズン、掲げる目標は「13勝と160イニング」の2つ。現在12勝で“王手”をかけているのも、妥協することなく野球と向き合ってきた結果だ。

8日の投手練習では松本晴&大津と10分以上の“変化球談義”

 楽天戦から一夜が明けた8日、みずほPayPayドームで投手練習が行われた。大関と松本晴、大津亮介投手の3人が10分以上も話し込むシーンがあった。「他愛もない会話ですよ」と言いながらも、内容を明かした。

「きょうに関しては、変化球の話でした。大津の方から『フォークの握りってどんな感じですか?』って聞かれたのがきっかけで。僕の方から『こうだよ』っていうこともありますし、シンプルにお互いの情報を交換、共有していた感じです」

 大関にとってもフォークは今季の活躍を支えている球種の1つ。近年、投手が急激に進化を遂げている中で、左腕の考えを明かした。「もしかしたら、今の野球界の時代的にフォークが流行なのかもしれないっていう話をしていました。上沢(直之)さんのようなチェンジアップが武器だった方がフォークを有効に使うようになったり、そういうパターンが多い気がしています」。自らの思いを伝えているだけではない。お互いに熱い議論を交わしながら、成長するヒントを与え合っていた。

「みんなで頑張っていきたいですね。短期的な結果も大事ですけど、長い目で見た時の成長や進化を、みんなでしていけるように。晴や大津は確実に投手陣の中心となっていく存在だと思いますし、僕も頑張っていきます」。12月には28歳になる。実績はもちろん、存在感という意味でも頼りになる“先輩”だ。

(竹村岳 / Gaku Takemura)