藤野恵音がチーム育成選手で2軍戦に最多出場
「すごく大きかったです。今年、2軍戦にこんなに出られてるのも斉藤和巳監督のおかげかなと思います」
育成4年目の藤野恵音内野手は今季、チームの育成野手で最多となる61試合に出場している。188打席で打率.251、17打点を記録。今シーズンから外野にも挑戦するなど出場の幅を広げ、22歳は飛躍の年を迎えている。「4年間で一番怪我もしていないですし、野球をしっかりやっているという感覚はあります」と確かな手応えを口にする。
昨シーズンは3軍戦で好成績を収めながらも2軍昇格の声はかからず、育成選手として一つの区切りとなる3年目をもどかしい思いで終えた。そんな中、昨年9月に当時4軍監督だった斉藤和巳3軍監督にかけられた厳しい言葉。堪えきれず思わず悔し涙を流した30分間があった――。
斉藤和巳監督の言葉に流した悔し涙
「技術じゃなくて行動、お前の行動を見ているんだ」
昨秋、シーズン終盤に2軍選手は「みやざきフェニックス・リーグ」へ参加していたが、そこに藤野の姿はなかった。「悔しくて、練習しようという気持ちにどうしてもなれなくて……」。そんな時、練習のアップやランニングで気を抜いている姿を見かねた斉藤監督に呼び出された。
「野球の技術とかは、3軍の選手はそこまで見られていなくて。アップでの行動とか、ランニングの走り具合とかを見られてると言われたんです。そこは確かに自分はしっかりできてなかった。去年も3軍で成績は残してたんです。(2軍に呼ばれなかったのは)そういう部分が原因だったことに気が付けました」
話をされているうちに涙が溢れた。「悔しかったので。気付けなかった自分に情けないというか。そういう気持ちがありました」。そこから練習での行動を改めて意識するようになり成長した。直後の秋季キャンプ中には、斉藤監督からも「成長したな」と声をかけられ、自分でも“変化”を実感した。
最初は「怖いな」と感じていた斉藤監督の存在。しかし今年に入って外野の挑戦のために3軍へ行ったときも声をかけられ、「愛情を感じますし、すごくいい関係でいると思います」と感謝を口にした。
(森大樹 / Daiki Mori)