復帰に2カ月をかけた理由 今宮健太が語った本心…“空白の期間”で感じたチームの変化

今宮健太【写真:古川剛伊】
今宮健太【写真:古川剛伊】

小久保監督が語った存在感「安心はありますね」

 2か月間のブランクなど感じさせないプレーの連続だった。19日に1軍復帰を果たした今宮健太内野手は同日の西武戦(みずほPayPayドーム)、得点につながる犠打に加え、2四死球で出塁ときっちり役目をこなした。20日の試合でも復帰後初安打を含む2安打をマーク。チームの連勝に貢献する働きぶりだった。

 打撃だけでなく、もちろん持ち前の守備力が健在であることも示した34歳。小久保裕紀監督も「2軍の試合もずっと見ていましたし、そんなに心配はしていなかったんですけど。ショートに入ると安心感はありますね」と、ベテランの姿に賛辞を贈った。

 6月中旬に脇腹を痛めてから2か月。ホークスは怒涛の快進撃を見せた。7月を17勝5敗1分けで終えると、8月もここまで13勝3敗の勝率.813と破竹の勢いが続いている。自身が不在の間に激変したチームに入る思いはいかなるものだったのか――。チームリーダーが本音を明かした。

「戻ってくる前から勢いがあるなとは思っていましたよ。そこはもう、(自分がチームに)入った中で止めないようにと。ヘマだけはしちゃいけないなという思いが正直なところでしたね」

不在で感じたチーム力「近藤や晃さんが乗っている」

 リハビリ中は試合をほぼ見ることなく、結果だけを把握していたという今宮。チームに戻って感じたのは若い力だった。「やっぱり若い選手が大きいんじゃないですか。本当にはつらつとプレーしている中で、近藤(健介)だったり(中村)晃さんだったりが、それに乗っているっていうところもあるとおもいます」。頼もしさとともに、感じていたのは別の思いだった。

 今宮が1軍復帰した19日の試合前、指揮官はこう口にしていた。「ポジションを死守するという意味では危機感があるんじゃないですかね。それは彼の野球人生にとってプラスになると思います」。そして20日の試合で決勝打を放った中村も、チームリーダーが戻ってきた“メリット”について、このように表現していた。

「一番大きいのは若い選手がしっかりと結果を出していること。健太もうかうかしていられない状況になったのが、チームにとっても一番いい。競争という形でみんなにいい影響が出ているんじゃないかなと思います」

 今宮自身も、チームに流れる空気は重々理解している。だからこそ、「リハビリはめちゃくちゃ慎重にやっていました。やっぱり再発(の可能性)が結構高いところだと聞いたので。そこは入念に時間をかけながら……。2ヶ月かかっちゃいましたけどね」。復帰後の再離脱が何を意味するか分かっていたからこそ、万全の形で戻ってきた。

 自身がチームを離れていた間、若手が懸命に戦ってきたからこそ今の順位がある。自分が足を引っ張るわけにはいかない。胸の中にしまい続けた悔しさをプレーにぶつける。それこそがチームの力となることを背番号6は分かっている。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)