キャリアハイの90安打目…柳町に起きた“変化”
「過去の自分を超えたではないですけど、今年成長を感じられる点の1つかなと思います」。柳町達外野手は13日、ベルーナドームで行われた西武戦の第1打席で右前適時打を放った。今季90安打目で、2022年に記録した89安打を超え、キャリアハイとなった。
初回1死満塁の絶好機、追い込まれながらも直球を振りぬき、ライト前へ弾き返した。この先制打からチームは一挙5点を追加。「しっかりヒットで繋げられたという意味で、すごく価値のある1本だった」。この日は3戦ぶりのマルチ安打を記録し、安打数を91まで伸ばした。
交流戦MVPに輝いたものの、直後の7月には30打席無安打という大不振。初のオールスターを経験し、後半戦に入ると、“らしい打席”が戻ってきた。試合後に語ったのは、初めてレギュラーとして試合に出続ける中で身についた“感覚”。「出続けないと分からないところだった」。前半戦とは明らかに異なる姿があった。
「疲れたコンディションの中でも結果を出せるような、色々な引き出しがちょっとずつ付いてきたのかなと思います」
その「引き出し」の中で大きいのが、打席のアプローチだという。「本当に感覚的なものなんですけど、疲れた時こそ打席で足を使うイメージを持つようになりました。技術的な部分が大きいです」。打席に立ち続ける中で、1つの“新しい武器”を身に付けた。
止まらない進化「もっと超えられないくらいの…」
4月23日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)から7月15日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)にかけて64試合連続でスタメン出場。小久保監督も6月7日のヤクルト戦(神宮球場)の試合後に「外せない選手から、チームを牽引する選手になった」と語るなど、首脳陣の信頼をつかんだ。出場を続ける中で、もちろん疲労感とも戦い続けている。
「また一度試合を休んでしまうと、体もその間に(良い感覚を)忘れてしまうので。また打てない時がきたら、違う引き出しが出てくるのかもしれない」。それは、単なる打撃技術だけでなく、1軍の厳しい戦いを通じて身に着けた、心と体の“戦い方”だった。
過去の自分は、超えるべき目標でしかない。「もっと超えられないくらいの結果を残し、それをまた超える。それを繰り返せたら、良い野球選手になれるのかな」。これからも自らを、そしてチームをより高みを目指して――。柳町達の“進化”はまだまだ止まらない。
(森大樹 / Daiki Mori)