開幕ベンチで始まった前半戦…牧原大成の言葉に滲む思い
間違いなくチームに欠かせない存在だ。「結果も出ていますし、悪くはないと思います」。牧原大成内野手が前半戦を振り返った。打撃では着実に調子を上げ、5月以降は148打数46安打、打率.310を記録。5月18日の楽天戦(みずほPayPayドーム)でのサヨナラ打をはじめ、幾度もチームを救う一打を放ってきた。
シーズンの始まりは決して順調とは言えなかった。2023、2024年と2年連続で開幕スタメンに名を連ねてきたが、今シーズンは開幕セカンドをジーター・ダウンズ内野手に譲り、ベンチスタート。そこから状態を上げていき、再び「二塁」の定位置を確固たるものにした。
離脱者が続出した中で、1軍で戦い抜いた前半戦。その価値を自ら認めた上で、「離脱しないことも大事ですけど、ここからは……」。口にしたのは並々ならぬ決意、そして変化した思考法だった。
「もう誰にも絶対に譲らないっていう気持ちでやっていきたいなと思います」
6月上旬には、5試合連続でスタメンを外れる時期も経験した。「それがチームとして必要としていること」。チーム状況や自身のコンディションによるものだと理解し受け止めた一方で、その経験が心に火をつけたのは間違いない。「でも、ここからは本当に、自分が絶対っていう気持ちでやっていきたい」と覚悟を示した。
交流戦期間中の6月には、「スタメンで出ても途中から出ても、自分はもうレギュラーでもなんでもない」と話していた。昨シーズンは右わき腹痛で2か月半の離脱を経験するなど、悔しさも味わった。そして途中出場も増えていた今シーズン。試合のスタートから出続けることへの渇望、1試合1打席に懸ける執念は、誰よりも強い。
「悪い時もありましたけど…」考え方の変化がもたらした“好調”な打撃
好不調の波は確かにあったとしながらも、ここまでの打撃成績が好調な理由について、メンタルコントロールが大きいと語る。
「悪い時もありましたけど、あまりその時に『悪い悪い』と思わないようにしていたことが、今いい方向に向かっているのかなと思います」
成績が振るわない時でも、それを引きずらずにプレーし、目の前の1打席、1球に集中する。「数字が悪い時に引きずってもしょうがない。切り替えは大事」。冷静な自己分析と意識の切り替えが、苦しい時期を乗り越える力となっていた。
今宮ら内野陣に離脱者続出も「自分のことに集中して…」
今宮健太内野手が右わき腹痛で現在も離脱中。二遊間を守る野手として、最年長の時間も多く過ごした。それでも「もう自分のことに集中してやるだけです」ときっぱり。多くを語らず、結果で示す。
心身ともに一段と逞しさを増した“仕事人”。後半戦、その一振り一振りが、「絶対に譲れない」という覚悟の証明となるだろう。
(森大樹 / Daiki Mori)